山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

出版社のキャッチコピーを比較する ②

2021-01-06 18:37:05 | 意見・所感

  集英社の全面広告には、作家・女優の松井玲奈の画像と共に、『今日から、進年。』というキャッチコピーが朝日新聞に出ていた。「キーを叩く。指を止め、想いを巡らす。そしてまた、キーを叩く。この行為を繰り返し、世界はだんだん輪郭を顕わしていく。」と、見事な滑り出しで言葉を紡ぐ。

 そして、「誰かの毎日を、そしてこの社会を 明るく照らすような小説を、 これからも丁寧に紡いでいこう。 私たちはまた、書き進める。 今年という新しい物語を。」と結ぶ。「英知が集う」社名らしく言葉にけれんみがない。

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 日本経済新聞をめくったとき、そこにも集英社の全面広告があった。しかし、写真も文章も違うものになっていた。『今日から、進年。』のキャッチコピーは変らない。写真はnon-noのモデル・女優の新木優子。

「お気に入りの服を着たとき、メイクを上手くできたとき。心は、ちょっと前を向く。…いつだって、そうやって、わたしはわたし自身を 元気づけることができる。…わたしたちの瞳が輝けば、きっと世の中は明るくなるから。 進もう、わたしらしく。」と、ポエムのような歌詞にもなるような洗練された言葉が産み出されている。朝日にも日経にも読者に合わせて違う宣伝をしているその感性の磨き方が集英社らしい。

         

 いっぽう、辞書と言えば三省堂と言ってしまう如く「考える辞書」を標榜している三省堂。「時代」「絆」「レジリエンス」という言葉を提起しているが、キャッチコピーとしては迫力に欠ける。小さな字で「ことばを通して考えを深めることが、未来をきりひらく第一歩となることを願います」と書いてあるのは、もっと大きくしてもいいのではないかと思う。

            

 最後に小学館だ。ドル箱の名探偵コナンを登場させ、「こどもはみんな、何かの探偵だ。」と、「世界を探究したいなら、本を読もう」と誘い込む。「…世界はいつも、大きな難事件だ。 <知りたい>想いがある人にだけ、世界は、そっと、真相を打ち明けてくれるよ」と結ぶところは小学館の面目躍如というところだ。元旦の新聞の面白さは、こんなところにも躍動がある。きっと、元旦号にはコピーライターが胃を痛めながら吐露してきた傑作のるつぼが反映されている。それだけに、新しい時代を「具体的に」切り開くエネルギーにしなければもったいない。

 

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