わが土地にも外来種のスミレが侵入して存在感を増してきた。畑の隣に堂々と華麗な一族の逞しさを誇示する。排除しようとも思ったがなかなかそんな勇気はない。そこで、むしろガーデンの外縁で活躍してもらおうと移植作業を開始したというわけだ。
「ビオラ・ソロリア」は、欧米では一般的なスミレの代表格で雑草化している剛健な仲間だ。それが日本にも雄飛してついにわが大地にも降臨したというわけだ。ビオラというくらい花も大きいし葉も光沢もありたくましい。
農道の道もすっかり雑草絨毯がひかれ、ちゃっかり白のビオラ・ソロリアが占拠を企んでいた。東海のカルチェラタンはさせじと、当局は排除に向かい一本一本引きはがし、外縁に移植したという顛末となった。
この白いスミレは、「スノー・プリンセス」とも呼ばれたようで、園芸店では人気があったようだ。ちなみに、紫のスミレは「パピリオナケア」、白花で中心が紫の条線があるものを「プリケアナ」と呼ばれた。最近はそれらを総称して「ビオラ・ソロリア」と呼んでいるようだ。
これらのスミレの根っこは、小さなワサビのような根っこ状の根茎を持っているからかなわない。ちょうど、わが道草山に自生するナガバノスミレサイシンの根っこと似ている。そのためか、このビオラソロリアを「アメリカスミレサイシン」とも呼ぶ。
古代ギリシャの女性詩人が恋人とともにこのスミレの花輪を被る描写があり、それが同性愛のシンボルとされたという。それで、1900年代以降、レズビアンの女性が求愛のため本種を贈るようになった。そのため、本種は「レズビアン・フラワー」とも呼ばれるようになったという。
愛の力はゲバルトをもってしても解消できない。わが荒廃地はそうした愛の力が満ち満ちているようだ。また、全草は食用・薬用にも活用され、とくに風邪・頭痛・便秘に効くらしい