山猿さんからいただいた綿花の種を荒地に撒いたものの成長はゆったり。毎日の酷暑にもかかわらず定植した苗は95%くらいは立派に根を伸ばしている。されどときどき様子を見ると、硬くなった大地には手こずっているようだ。つまりあまり成長していないように見える。
日本の衣料品の97%は輸入しており、その7割は中国からだ。その中国は新疆産綿が85%を占めるというから、日本の衣料には新疆自治区の綿がかなり流れていることになる。新疆ウィグル人の綿花にかかわる強制労働をアメリカが指摘したが、その真偽はともかく新疆綿をユニクロや無印良品などのアパレル業界が利用しているのが露呈された。
同時に、バングラディッシュの衣料工場の劣悪な事故やミャンマーの低賃金労働などが問題になったが、日本のアパレル業界はそうした後進国の課題をどれだけ受け止めただろうか。安ければよいとする資本の論理は従来の植民地主義と変わらない。その意味では、有機栽培で育てる「オーガニックコトン」は、自然環境や労働者に優しい仕組みから生み出されるものだ。政府をはじめ企業も消費者もそういうものを推奨とする機運や仕組みが必要だ。スウエーデンの「H&M」(ヘネス・マウリッツ)のように、2030年までにリサイクル製品・持続可能な原料の使用を掲げる心意気に日本の企業も学ぶべきだ。そうすれば、山猿さんのように綿を種から育てようという人や百姓がどんどん増えることとなる。
わが家の綿もいっぱい実れば雀の涙くらいは供給できるというもんだが、先行きは何とも言えない。