裏の藪近くにコゴミを植えて7~8年はたっただろうか。放任栽培はうまくいっていた。ちょうど藪の繁みが湿地らしき場所になっていて、コゴミには絶好の生育環境になっていたのに違いない。思いついたときには草刈りをするときもあるがほとんど放置状態だった。
それでも、毎年のように芽を出し、春の山菜の息吹を与えてくれる。今ではどんどん株が増えて見事な太い根株ができて、つい踏んずけてしまうほどになってきた。むかしは徒党を組んで張り切って郊外に収穫しに出かけたが、今では炬燵から這い出してからそのまま裏へ行けばコゴミが待っていてくれるというわけだ。
5分もあればこのくらいは収穫ができる。わざわざ道なき山へ行かなくて済むというテイタラク農業なのである。早速収穫したその日に1分ほど茹でてから醤油マヨネーズで食べるのが定番だ。しゃきしゃきとぬめりとの食感がたまらない。
すぐそばには、コナラの太い切り株があって雨の効果もあり、なんとかシイタケもニョキニョキ出てくれた。こちらも和宮様の天ぷら仕上げとなって食卓をにぎやかにしてくれる。また、あちこちにタラノメが出ているが忙しくて手が出ない。若芽も伸び切ってもう遅いかもしれない。春は一気にあわただしさを振りまきに来る。そうして、いつのまにか加齢という時間軸を積み上げてしまうのだ。