畑に1本の「万願寺トウガラシ」がある。先月からたわわの実をつけて、いまだに健在だ。十数cm以上の元気な実をいただくが、忘れているとどんどん緑から赤色のトウガラシに変身する。大正から昭和初期、京都府舞鶴市の万願寺地区で「伏見甘長とうがらし」とアメリカのトウガラシとが自然交配したのを好機に、栽培・研究を続けていき好評を得る。
甘いとうがらしがいつから生産されたかについては定かではないが、17世紀後半には栽培された文献があるという。「伏見甘長とうがらし」は江戸時代から続く在来の京野菜だ。「万願寺甘とう」は「伏見甘長」よりやや大型。
そのうちに、万願寺地区の甘とうがらしは、平成元年「京のブランド産品」第1号に認証され、「万願寺甘とう」となる。それは他の地区では「万願寺甘とう」とは名乗れないそうだ。したがって、わが家の元気はつらつたる甘いトウガラシは、京野菜ではないが「万願寺とうがらし」ということになる。わかったようなどうでもよいような、しかし万願寺地区の品質向上努力は大変なものであったらしい。