収穫してあった「エゴマ」の実を脱穀しなければとあわてる。エゴマの枝を長いままなら先日修理したばっかりの足踏み脱穀機でできるのに、なんと丁寧に穂ごとに収穫していたのでこれは使えない。そこで想い出したのが「千歯こき」だった。さっそく倉庫から取り出す。
千歯こきの裏側を見ると2cmほどの釘が取れている。これだと安定しないどころか鉄の歯が崩れてしまいそうだ。またしても修理が必要になった。この「千歯こき」も近所の人からいただいたものだった。全体的にはしっかりしている。
鉄の歯をブラシで磨いてみたら、いちばん左側から「大正元年」の文字がでてきた。そうか、大正元年(1912年)に製作されたものに違いない。次に、いちばん右側の歯も磨いたら「農工○○○○」と解読できない。きっと、鍛冶をやった人の名前かもしれない。字体がとても特徴ありすぎる。大正に入ると足踏み脱穀機が全国を跋扈する。そんななかでの千歯こき生産なのできっと起死回生の技術や心意気が込められているようにも思う。
表の土台の木には「農工社」の焼き印がしっかり押されていた。どこの地域の会社かわからないが、鉄釘を作る鍛冶屋が製作する傾向が多かったようだ。横には十字に「提携」という文字だろうか。いや、大正だから右から左に読むべきだとするが解読できない。修理やメンテナンスに追われ、いつものようになかなか脱穀に至らない。
続きを楽しみにしてます。
来週には修理が終わるはずです。その際、千歯扱きが長らく全国を普及した理由をブログで展開する予定です。