山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

森とひとつになる

2022-11-07 19:48:50 | 市民活動・まち育て

 一昨日、久しぶりに広大な県立森林公園に向かう。会場は森林セラピーで出会った人で構成される「フォレスト・バロン」が主催。「音楽文化祭2022」というイベントが行われていた。「バロン」とはバリ島の森の精霊のことだそうだ。初めての参加で要領がよくわからなかったが、出店とアート「出展」、舞台での音楽ライブや対談、マッサージ、冒険遊び場などが会場に並ぶ。  

 

 先週、準備してきた手作り遊具が大活躍。会場にいた子どものすべてがおもむろに遊びにやってきたムーブメントとなったようだ。セッティングは前日の夕方から暗くなるまで準備したそうだ。フキちゃん夫婦の意気込みと情熱がぐいぐい伝わってくる。先週助っ人にやってきたプレイパークの友人たちも当日の子どもらの遊びをフォローしていた。人とのつながりの素晴らしさを再認識する。

     

 また、わかりにくい会場に着いたら旧友の田中さんが会場案内係をやっていた。フォレストバロンの活動とともに今まで多彩なワークショップをやってきたという。きょうは、森の中で田中さん手作りの竹リング遊具のセッティングを手伝う。遊び方の説明を聞いたがよくわからなかったが、とにかく言われたとおりの指示に従う。蛇の体内を探検する「輪くぐり」のようなものだった。

 

 枯葉を集めてベッドを作ったりしていた子どもたちは、近くにあったドラム缶で遊びだした。これ一つだけでも長時間遊んでいたのは、さすが遊びの天才だ。それを温かく見守る大人たちの存在も欠かせない。型にはめないおとなと枠を超える子どもたちとの共同の広場がこの文化祭でもあった。    

         

 舞台から聞こえてくるライブの演奏や歌声は、森と人間とが調和するヒーリングの調べだった。残念ながら聴衆が少ないのが気になる。イベントの趣旨は理解できるが、やはりそれを実現させていく適度な戦略というものは必要だと思った。

 オイラは肉ラーメンをすすりながらライブや森林セラピーの対談を聞く。途中で、ドイツの音響療法で使っているという「モノリナ」というハープのような演奏もあった。心と体の調律をする楽器だそうだ。それから、わが隣の地区に移住して間もない若夫婦が運営する出店に行く。そこで、「中性コーヒー」という耳慣れない珈琲を飲んでみる。三年番茶と珈琲とのブレンドだそうだ。ソフトな味覚で胃に優しい。なかなか旨味もある。

         

 さて、情報化時代の洪水の割には、国民の行動は誰かが仕組んだ「罠」にはまったようなイベントしか行かないのが現実だ。だから、木村拓哉が扮する織田信長パレードに数万人が殺到するのが大ニュースとなる。アメリカの中間選挙でのトランプ陣営の「熱気」も心配だ。

 心に沁みるイベントがこのように目の前にあるのにもかかわらずだ。多数派の中に自分を置くことで安心するのだろうか。人と異なる意見を言ったり行動したりすることが慎重・恐怖である日本の実態にいつもぶつかってしまう。その意味で、自立した人間になるためのワークショップがこのイベントなのかもしれない。

     

 

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まつろわぬ民の反乱があった!!

2022-11-04 20:29:38 | 読書

 真摯で矜持のある児童文学を上梓していた後藤竜二『野心あらためず / 日高見国伝』(講談社、1993.8)を読む。以前から、読み終えるとピュアな魂の余韻が残る作家として注目していた児童文学者だった。

 「宝亀の乱」(780年)で起きた大和朝廷と蝦夷との抗争を題材にした史実の物語だけに、実在の人物が登場する。

       

 主人公は、東北の先住民・アビという蝦夷出身の少年だ。この作品の焦眉は、大和朝廷と蝦夷という二項対立の構図ではないところにあるように思う。むしろ、蝦夷でありながら朝廷内で立身出世をもくろむ者、蝦夷を弾圧する側の先頭に立つ裏切り者、抗争より商売優先にしながらも蝦夷を支援する者、朝廷側の役人でありながら最後は蝦夷側に寝返るもの、どちらにもつかずに均衡を保つ者、徹底抗戦に生きる蝦夷等など、被支配側の中の多様な立場も描いているが一面的ではない。

          

 蝦夷の英雄・アテルイやモレがもっと前面に出てくると思っていただけにこれは意外な展開だった。「宝亀の乱」は蝦夷出身者であり朝廷側の出先の役人だった「呰麻呂(アザマロ)」が起こした反乱だが、出先機関だった巨大な多賀城を落城させ、朝廷側に立つ幹部を殺害する。しかし、朝廷はその対策にいろいろ手を打つがいずれも混乱するばかりだ。それどころか、朝廷内の内紛に追われる。

         

 児童文学でありながら、おとなでも十分読み応えある内容だった。さらに、挿絵の田中槇子さんの鉛筆によるデッサン画が豊富にあるので、想像力をさらに掻き立ててくれて読みやすい。この中身の重厚さからか、野間文芸賞を受賞する作品となったのもうなずける。残念ながら、作者は2010年67歳の若さで他界している。

  

  「都の貴族たちにとっては、蝦夷征伐なぞ、出世のための事業にすぎぬ。しかし、われらにとっては、生き死にの問題だ。陸奥は、貴族たちの出世や政争の道具ではない。ここに骨を埋めるわれらの国なのだ。」という、蝦夷出身でありながら蝦夷統治の役人をしている者の本音を作者は語らせている。

   

 主人公の少年アビの成長物語でもある作品だが、後半は「呰麻呂」の煩悶と活躍が前面に出ていてアビの姿が小さくなっているのが気になる。ただし大切なことは、縄文以来、平和的に暮らしてきた「日高見国」が日本に二重権力状態として存在していたという事実だ。従来の歴史観は勝者の立場でそれらを無視してきた。

         

 「宝亀の乱」以降、陸奥侵略がますます本格化していく。東北の金山の発見がそれに追い打ちをかける。東北は「黄金の国・ジパング」として世界を動かしてもいく。このところ、「東北学」が喧伝されてもいるが、そこに生きてきた「まつろわぬ」精神をもっと発掘していくべきだとあらためて思う。

         

 アビ一族の族長であり、アビの父であったシラスは「野心あらためず」として処刑された。一族が弾圧されるなかでアビが誕生するというのが本書のスタートだった。「まつろわぬ」とは、不服従を貫いて生きていく姿勢だ。そこにいち早く注目し発掘したのが後藤竜二だった。約30年も前のことだ。

         

ここ数年来、歌舞伎でも蝦夷の英雄アテルイを主人公にした創作歌舞伎が上演されることもあった。しかし、世界遺産に指定されて注目されてきたとはいえ、縄文から古代東北の歴史はまだまだ発展途上にある。その意味で、著者の先駆的な作品の価値は高まるばかりではないかと思うのだが。

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小さい秋にやってきた小さい虫たち

2022-11-02 21:54:23 | 生き物

 今年の短い秋は昆虫が少ないというのが実感だ。とくにアゲハチョウ類が少ないし、ミツバチはさらに著しい。もちろん、花自体がいつもより少なかったこともある。気候変動のせいか自然界の微妙な感性がうごめいているような気配がある。

 そこへ、わが駐車場のコンクリート面にのそのそと「フクラスズメ」の幼虫が歩いていた。いつもは、イラクサ科の葉に集団でいてモソモソ食べているはずだが。それを邪魔すると体を震わせて威嚇してくる。しかも集団で動くから枝全体が突然揺れ出すから異様だ。人間を恐れず気性が荒い。「そっちにはイラクサも葉っぱ類もないよ」と教えたけど、振り向きもせずまっすぐ歩いていく。

    

 幼虫の顔は黒いヘルメットをしているような頭部が不気味だ。フクラスズメの体はじつにポップな模様がある。幼虫の背中の前方の模様には、いくつかのおじさんの顔を発見できる。お尻の方にはおじさんの顔は一人しか確認できなかった。こんなことは図鑑には載っていない。とは言っても、模様は個体によって多様であるということだね、きっと。

            

 ニンジンの畝に行っていた和宮様が、「キアゲハの幼虫がこんなにいたのじゃ。前回もこのくらい捕まえたばかりなのに」と籠いっぱいのキアゲハの幼虫を捕獲してきて、ため息をつく。約20頭の幼虫がいた。 畝全体に蔽いをしないとニンジンの葉っぱが見事に無くなってしまう。すると、ニンジン本体は成長を止めてしまう。プロ農家はいったいどういう対策をしているのだろうか。

       

 夜には、巨大な蚊の形をした「ガガンポ」らしき虫がわが家に来ていた。足が長く、羽にはまだらな模様があった。この画像と同じものはまだ確認できていない。ガガンポの種類は意外に多いのに、刺されることもないので研究が遅れているようだ。  

 

 同じように、バナナを食らいついている「アメバチ」(ヒメバチ科)もいた。一見、華奢に見えるが親は蛾の幼虫に産卵する。幼虫はそこに寄生するばかりか、宿主を食い尽くしてしまうしたたか者だ。以前、ブログにも紹介したものと種類と同じかどうかはわからないが、飴色のスリムな体は見事だ。

 

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