郷土の歴史と古城巡り

夏草や兵どもが夢の跡

播磨 英賀城跡 

2020-03-22 09:11:39 | 城跡巡り
【閲覧数】2,039(2012.2.19~2019.10.31)                                    



▼英賀の鳥瞰  黄線内が城域  by google




▼英賀城と周辺の城



英賀城のこと   姫路市飾磨区英賀


 英賀城(あがじょう)は、室町時代初期の永享年間(1429~41)に、赤松祐尚が築いたと伝えられています。当時、中世の城といえば山城でしたが、この城は、海や川に囲まれた浜辺の低地をうまく利用した水城となっていました。

 赤松祐尚の父は義則であり、将軍足利義満のもとで活動し、将軍に重用されていました。赤松祐尚の死後、姻族であった三木通近が在城し、代々力をつけ城を拡幅し、三木通安のとき、赤松を再興した政則に従って活躍。以後、瀬戸内の海路と山陽道を結ぶ交易の湾岸都市として発展しました。戦国期には、英賀は一向宗と結びつきを深め、英賀御坊を城内の西詰めに建立するまでになり、真宗の播磨拠点ができました。

 戦国時代の後半になると置塩城の赤松宗家は衰退し、下克上の様相をおび始め、播磨国の東播磨は三木城の別所、中播磨は小寺氏、この英賀城の三木氏は小寺に対抗する勢力を持つまでになりました。

 しかし、織田信長の大阪本願寺との衝突の中で、この英賀城主三木通秋は、城下の門徒と播磨の門徒を結集して、大阪本願寺(石山本願寺)を支援し、また織田と対抗する毛利氏は、水軍を率いてこの英賀港を援兵と物資の補給に利用しました。しかし、天正5年(1577)羽柴秀吉軍の播磨侵攻で、三木城が陥落されたあと、ついに英賀城も落城しました。落城後、英賀の町民は姫路山下へ移され、英賀御堂も移築されて、都市としての英賀は消滅しました。

参考:『日本城郭大系』、ほか



▼姫路附近古地図  英賀城は左下に三木古城とある

「姫路百年(H2.3)」より




アクセス


 英賀城は、南には播磨灘、西は夢前川、東は水尾川を天然の堀にし、北は土塁で取り囲んだ大規模な平城でした。しかし、400年以上の期間を経て、城内外は近年大開発されほとんど宅地化されたため、城跡と境界がほとんど消えてしまいました。ほんの数箇所の土塁跡が、かすかな面影として残っているだけです。

 英賀小学校の東にある清水公園の前に、英賀城の説明板があります。これをもとに城域の境や規模を探りました。



▼清水公園前の説明板                   




▼英賀城郭区域復元図

 


 土塁は、英賀神社の本殿の後ろにあります。 土塁上に「英賀城の塁」の石碑が立っています。北隣りにある城公園には、復元石塁と野中口の跡があります。

 境内を出て、少し東に岡芝口跡があります。○○口というのは、城内に入る門のあった場所の名称です。



▼英賀神社                         


▼英賀神社 本殿裏の土塁

  

▼境内の北側                       



▼岡芝口の跡



▼城公園内の復元石塁 




英賀保農協前の5差路の交差点の東に「河下(こうげ)口の跡」「大木の濠跡」があります。




南東に少し進むと、井ノ上口の跡・英賀薬師堂があります。ここは英賀城主三木家一族の墓があり、その右奥に土塁の一部が残っています。

                                 

▼井の上口跡  (戦没者の墓地前)            



▼英賀薬師堂 

 


▼薬師堂の土塁                     





▼英賀薬師周辺の平面図

 



南に下がって、中浜公民館近くに、本丸跡の石碑があります。



▼英賀城本丸跡の石碑
  



   
 西に進むと、巽(たつみ)地蔵があります。この南には山陽電鉄が走っていますが、かつては、ここから南は海辺で、田井ヶ浜と呼ばれていました。



▼巽地蔵                            



                            

▼水城英賀城の港跡・巽地蔵の説明石碑





雑 感


 昭和13年(1928)に、日本製鉄広畑製鉄所が創設される際に、夢前川の下流域が700m東に移されました。これにより英賀城域の西が削り取られ、英賀の景観は大きく変わり、遺跡の英賀御坊の跡は、河底に消えたようです。そして、戦後の宅地造成で、土塁・掘がすっかりなくなりました。

  本丸は、海に突き出た石垣で築城されていたと考えられますが、その遺跡の復元が神社北の城公園にあるものでしょうか?住宅地に立つ「英賀城本丸之跡」の大きな石碑の周辺に遺跡がまるで見当たらないのは、ものたりなく寂しさを覚えます。



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