「凄い空がきれいだよ」
少年のらしき声に思い出したかのようにフロアを出た。
朝5時45分。
本当に綺麗だ。虹のような空。
夜勤中に抜け出して空を見る。僕の日課になってたことをしばらく忘れてた。
「いったいどれだけの人がこの空をみてるかな?」
そんなことを思いながらタバコを吸う。
小さな頃は怖いものがなかった。
大人にはいつも反発していた。
「大人はどうしてわかってくれないんだ!!」
いつももがいてた。
でも自分が大人の領域に足を踏み入れようとしている今、大人の気持ちがわかってきた。でも子供の頃の気持ちを忘れたくない。
小さな頃、泣いてるときも、笑ってるときもいつも空を見てた。故郷の空をずっと追いかけてた。
どれだけ日々に追われても、空を見よう。
そう思う。
もしも僕に子供が出来たなら、子供が泣いてるときも笑ってるときも、同じ空を見て頭をなでてやりたいな。
そんなことを思った。