生まれつきだ、とは思う
ありんこを踏み潰したり
野良猫を追い回す
そんな事は、よくあった
いのちを、潰したり
或いは、追い詰めたり
それが、おまえの
快感だったりした
ありを潰したのは
おまえにとっては
ありのいのちは
軽かったからだろう
本当は、おまえこそ
そのいのちは
何よりも重みがない
そんなおまえが
いのちの軽重を測った
ありにとっては
そのありのいのちは
本当は、すべてなのに
それを弄んだ
ただ、野良猫は違った
おまえには
ありよりは
かなり、重かったらしい
追い回したけど
叩いたりはしない
そこへ行くと、野良犬は
追いかけ回すもない
噛みつかれる恐怖
追い回されたかも知れない
ただ、野良でも子犬は違う
大人の野良犬みたいに
唸ったりしない
かと言って、野良猫みたいに
様子を窺うとか
冷たい目じゃない
子犬は、たいてい
おまえを見つめて
おまえに呼びかけた
きゅんっ❣️きゅんっ❣️
同級生には
捨てられた子犬を
いじめる奴もいた
そんな時のおまえは
そうだな
こいぬを助けたことは
なかった
同級生を押し除ける
勇気がなかった
そんなことがある度に
おまえのこころには
いのちが、弄ばれた痛み
こころの奥底には
痛みだけが降り積もった
何でだろうね
いつからだろうね
捨てられた子犬は
泣いて追い縋って
でも、いじめられて
そんな子犬は
おまえになったのだと思う
子犬のいのちは
子犬のいのちなのに
おまえのいのちになった
だから、あの昼下がり
たったひとりの帰り道
あの子を抱きしめた
そして、やがて
あの夕暮れの土手道
おまえは
手を膝につき
しゃくり上げていた
おまえは、あの日
おまえのいのちを捨てた
おまえは、無力で愚か
いのちをなくしたおまえ
罪だけが残っていた
いのちは、きっと
取り返しがつかない
それを、本当に知った日
だからかな
また、思い出している