どんな人が乗っているのかな
そんな風に
思うようになった
空港の隅っこで
働くようになってからだ
24時間空港じゃないけど
遅れ便はある
真夜中近くになる
疲れ切った顔、顔、顔
みんな、急ぎ脚だ
もちろん、これは
記憶にある光景
都心の会社員だった時代
片付かなかった残業
それは、まだいい方
思わぬ、電車遅延
機器の故障もあれば
飛び込みも、多い
もちろん、そんな時のおまえ
飛び込みのは、勝手だけど
勘弁してよ
疲れてんだよ
早く帰らせてよ
世の中に疲れてるのは
あんただけじゃないから
そんな記憶も甦る
灯りは、煌々でも
セピア色の構内
もちろん、おまえも
思わぬ残業で
すっかり疲れている
でも、乗客たちも
すっかり、疲れている
酷い倦怠感が漂う
乗客たちと、従業員たちと
昔、乗客だった駅まえは
駅員さんたちを思い出す
お互い様なんだね
ただ、少し違うのは
乗客の多くが
同胞ではなくて
外国の人々
お互い様だけじゃない
意外な気持ち近さ
それも感じていた
そんな事が
思いが
ふと、甦る
真夜中
ジェットの音は
不意に湧き
頭の上
結構な爆音になり
また、遠ざかっている
やかで、夜の闇に消える
さあ、寝よう…