大っ嫌いだった
そう思っていた
濡れると鬱陶しいからだな
びちょびちょ、ぐちゃぐちゃ
とにかく、嫌いだった
と、思っていた
確かに、濡れるのは
嫌いかもしれない
シャツが濡れたりすると
靴が濡れると
いや、長靴も水が入る
びちょびちょ、ぐちゃぐちゃ
ずっと、思ってたけど
それは、そんな時だけ
だいたい、水浴びは
大好きだった
もちろん、喉が渇いて
冷たい水を、ごっくん
生き返っていた
そうだったね
ずっと、ずっと
水は、大好きだった
だから、雨でも
久しぶりの霧雨だったら
傘も差さない
そのまんま、しっとり
濡れたかったりした
いや、濡れていた
濡れるのが、気持ち良い
そんな時が、あって
傘を差さないおまえは
しっとり、歩いていた
そんな時に気づく
灼かれて、萎んでいた
木々も、草花も
やっぱり、しっとり
いや、すべてた
おまえを包む
あらゆるすべて
いのち、すべて
いや、いのちじゃなくても
みんな、しっとり
いのちを宿していた
雨は、いのち
いのちの恵みだね…