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日記、日々の想い 

秋は、ただ寂しい…

秋は、やっぱり
寂しいな、と
ふと、思っていた
やっぱり、多くのいのちが
眠りにつく
いや、それだけじゃない
子どもだった、おまえは
そう言えば、秋は
特に、寂しかったよな
寂しくて、寂しくて
仕方がなかった
やっぱり、海辺の街だったから
遊泳禁止の海でも
近隣の海水浴場から
溢れてくる人びとで
夏の海辺は、いっぱいに
なっていたしね
だけど、秋になると
さっぱり、ひと気がなくなる
そんな海辺は
台風の荒波に、打ち上げられた
無残な流木や瓦礫たちの
墓場にもなっていた
打ち寄せては、返す
波の音だけになっていて
ただただ、殺風景だった
あの流木や瓦礫は、やがて
行政が、晩秋までには
海辺で、燃やしたりする
それが、また寂しい
まるで、夏の海辺の
あの賑わい、ざわめきの
お葬式みたいだった
いまのおまえは
この海のない街にいて
寂しい海辺は
目の前にないけど
こころの中にはあって
ふと、その心象風景に
とらわれたりして
余計に、寂しくなる
そう言えば
おとなのおまえは
引きこもりたいだけの
その後ろ向きな気持ちを
なんとか、社会に
引きずり出して
いや、引きずり出されて
生きていくこと
その時の流れに
猛り立つ濁流に
放り込まれて、呑み込まれて
ただ、翻弄されるがままに
この何十年もの月日を
無為に、押し流されてきた
それだけなのかも、知れない
この、秋の深まっていく
静かな庭の黄昏にいて
おまえは
まるで、あのひと気のない
うら寂しい故郷の海辺の
打ち上げられて、打ち捨てられた
瓦礫みたいで
やがて、この
生きてきた月日の
その黄昏の時にあって
この、こころの岸辺にいて
この黄昏れていく
あの夕陽の残り火に
灼かれて、果てる
そのことの予感が
遥か彼方
忘れてしまっていた
子どもの自分の
抱いていた、あの寂しさ
癒しようもなかった
果てしない寂しさを
ただ、取り止めもなく
よみがえしている
そうなのだろうか…
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