"無垢"と言う"残酷"

子どものおまえは
なんで、みんな
喧嘩するのかな、って
思っていたよね
子どもって
まあ、きっと
無垢なんだよね
だから、それで
無垢な自我の
剥き出しの残酷で
ひとを、傷つける
傷つけられる
腕力の暴力でも
言葉の暴力でも
腕力は、確かに
苛烈なだけだけど
言葉も、変わらず
無慈悲で、容赦ない
でも、おまえは
きっと、あんまり
無垢じゃなかったのかな
そんな風な
腕力やら、言葉やら
その暴力の無垢には
嫌悪しか、なかった
でも、大人になっても
そんな無垢
他者への攻撃性は
必ず、誰にも
潜んでいて
上辺の理性とやらは
時折の言い訳で
上辺が、緩む
そんな日常には
変わらない
残酷な暴力
腕力やら、言葉やら
結局、そうなんだよね
そして、大人のおまえの
少しの進歩は
おまえの内面も

無慈悲な無垢を、凌ぐ
理性に、満たされている
など、ある筈もなくて
奥底に、潜むのは

結局
ただ、暴力
それだけだ、と
気づけたことだ
腕力、言葉
憎悪、嫌悪
跳ね除け、振り払い
叩き、突き刺し
押し倒し、押し潰す
それだけ
もう、上辺だけだね
理性とやらは
常に、怒り、憎しみは
猛り狂っている
そんなこころには
慈悲も、たまに湧くけど
あっと言う間に

灼き尽くされて
そうして、おまえ
自身さえ
灼き尽くされる…