人混みが、好きだと気づいた
それは、知った人たちの人混み
知った人たちだと
おまえを、知らない人みたいに
してくれるから
そんな風だと、気づいた
やがて、それは
知らない人たちばかりの
そんな人混みなら
もっと、ほっと出来る
そうだと分かった
みんな、知らない人たちで
みんな、おまえを知らない
おまえは、何の苦労もなく
知らない他人でいられる
或いは、砂浜の一粒
そして、そんな一粒は
普通に、波にさらわれる
他人波に、揉まれる
揉まれて、孤独
知らない人ばかりの
他人波だから
おまえは、孤独だ
揉みしだかれいるのに
深い孤独は
おまえを守る
人混みのおまえ
ほっとしていたおまえは
そのままに
孤独なおまえ
深みへ、深みへと
落ち込んで行くのに
安らぎを揺蕩う