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日記、日々の想い 

波乗りの海、冬に…

故郷の海は
遊泳禁止だ
それでも、夏には
周りの街の海岸から
溢れてくる人々で
結構、賑わう
秋になると
湾の真ん中だから
海は、一際に荒れて
人影もなくなる
そして、冬になると
故郷の霊山から
寒風が、吹き下ろしてくる
波は、荒れたままで
凍える砂浜は
一際に、寂しかった
…でも、いつの頃からだろう
寂しかった筈の
冬の、故郷の海は
結構な賑わいになった
荒れる波を求めて
サーファーたちが
集まってくるのだ
あの荒れ狂う波
波濤、飛沫を、切って
最後は、あの
凍てついた海に
呑み込まれてしまう
何が楽しいんだろう
興味もない自分には
そんな風にしか
思えなかったけど…
でも、海岸道路が
出来たその昔に
正月、伝統の駅伝が
海辺を走るようになって
中継所も出来て
人々が、集うようになった
まるで、冬の祭りだ
そして、いつからか
海の幸に溢れた
故郷の豊かな湾は
その沖合いを
海釣りの遊漁船に
埋め尽くされていった
冬の寂れた海辺は
少しのざわめき
そんな海辺に、変わっていた
でも、海辺に住む自分は
人混みが、嫌いで
あの寂れ切った海辺
その波音だけの静寂の虚無
少しでも、そのことが
失われてしまった時から
決して、訪れることは
無くなってしまった…
多分、半分凍えながらも
波に乗る若者たちは
ざわめき始めていた
あの静寂の冬の海辺を
少しの賑わいへと
更に、変えていった
かも知れない…
あの、ただ遊泳禁止だった
故郷の海が
荒れていただけの真冬にも
波乗りの若者と
沖合いにも
無数の遊漁船で
ちょっと、賑やかな
そんな海になって
ぞんなざわめく海辺を
遥か彼方、遠く望んで
耳を澄ませていた
そんな自分は
あのざわめき
あの賑わいを
この自分の生命にも
きっと
欲しかった、のだろうか…


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