見出し画像

日記、日々の想い 

故郷の海,あの夏の日に

梅雨が、終わった
灼熱を孕んで
真っ青に、燃えていた
夏の、あの空
身体は、弱かったんだけど
真夏生まれの自分は
そんな、灼けつく空が
大好きだった
それで、梅雨が明けた
そんな日には
たまらなく
海に行きたくなる
実家の我が家は
高台の
なだらかな坂上にあって
海辺の街を
見下ろし、見渡せるんだ
家を出る自分は
自転車に、またがる
海岸へ続く道は
直ぐに、坂道になる
長い坂道で
自転車は、全速力
坂道を降り切ると
広々とした住宅街で
自分は、自転車を漕ぎ出す
疾走を、止めない
街を、切り裂いていく
照りつける日差し
飛び去る道路には
灼きつけられたまま
ともに疾っている
自分と、自転車の、影
激しい息と
迸る汗と
バス通りでは
少し
スピードを、緩めるけど
でも、止まらない
まだ、下り坂だ
右に、電波管理局だ
鉄塔の林立
でも、坂道は
海岸道路へと
上り始める
息は
もう切れ始めている
迸った汗は
口元に苦い
やがて左手に
大震災に、生き残った
でも、無残に傷んだ
一本松があって
息を切らして上る
その先だ
海岸道路だ
動かない車列
いきなりの熱気
でも、自分は
関係ない
車列を横切る
海岸の防砂林だ
黒松の林だ
ふと、止まる
松林の道、木陰
自転車に、鍵を掛ける
そっと、隠して
小走り
走り出す
見えて来る
海岸だ
うず高い、砂山
息は、切れ切れ
だけど、砂山のてっぺん
駆け上がっていた
大海原
真っ青な
太陽、灼熱
灼け尽くされて
広がって行く
砂浜
波は、砕け
打ち寄せている
でも、この遊泳禁止の
この浜辺にも
人々が、波打ち際で
戯れている
遠い喧騒
少し、浮き立つこころ
でも、自分には
あの遠さが
きっと、良かった
人いきれが、懐かしいけど
揉まれたくはなかった
あの、遥か遠い
故郷の
夏の海…


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日々のうた」カテゴリーもっと見る