見出し画像

日記、日々の想い 

ついて来れるように…

季節などは
覚えている筈もない
ただ、背高泡立ち草の森
黄色い花の記憶
きっと、晩秋
冷気の迫る夕暮れ時
そんな心象風景
抱き上げた子犬の温もり
寂しくて、痛いだけの記憶
なかなか、学校に
馴染めなかったおまえも
ようやく、友だちも出来て
帰り道は、途中まで一緒
でも、やがてひとり
そして、日の短い晩秋
彼方の里山に
夕日が沈み始める
そんな頃だったか
また、だった
いつもなんだ
かあさんが、なんとなく
犬が苦手
うすうす気づいていた
だから、いつも
そっぽを向いて
逃げるように
駆け出したかも知れない
だから、そんな風に泣いても
無理だよ、無理…
なんて、おとなは
あんな酷いことをするのか
後ろめたさと、怒りと
また、おまえは
こいぬのいのちを
見捨てたんだ
見捨てて、ばっかり…
だから、だと思う
あの日は
そっぽを向けなかった
駆け抜けられなかった
泣いていた
おまえを見つめている
無理だった
見つめ合った
おまえを追って来る
立ち止まりはしない
でも、ついて来れるように
黄昏れ時
取り分けに、とぼとぼ
俯きながら
小学生の後ろには
追いかけるこいぬ
消えそうな泣き声
夕日に染まる
ふたり…

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「犬の話」カテゴリーもっと見る