あの有名な
プールリゾートには
結局、いつまでも
行く事が、なかった
あんなに綺麗な
色んなプール
海岸道路が、目の前で
その先の海岸は
国内初の、海水浴場だ
太平洋
大空
振り返れば
山々を、背景にして
ホテルだってある
立派な室内プールもあって
一年中、泳げる
首都圏でも
凄く人気があるんだ
もちろん、地元のみんなにも
夢のプールだったんだ
いつもは、遊泳禁止の
海を、平気で
泳ぎ回っている
あの友だちたちも
とにかく、行きたいみたいだ
でもね、随分高いんだよね
だから、いくら地元でも
子ども同士で
簡単に、行けるとか
そんなプールじゃ
なかったんだよな…
自分は、と言えば
絶対、海なんか
怖いから、泳がないし
プールも、市営プールだけ
でも、本当は
ちょっと、内緒の
秘密があった
それは、父さんが
あのプールのある、隣町の
学校の先生だから
あの夢のプールの
ただみたいな
割引券が、貰えるんだ
でも、友だちには
絶対、内緒
言ったら、最後だ
行きたい、連れてけって
ねだられるに、決まってる
だから、絶対
内緒なんだ
嫌なやつたがらね
自分は、だから
そんなだから、結局…
少なくても、兄さんは
友だちと、行ったのかな
でも、家族では
行く事は
とうとう、なかった
父さんの仕事は
どんどん、忙しくなって
家族で、遊ぶなんて
あり得なくなってしまった
あの夢のプールは
ただ、夢のまま
そのままに、なってしまった…
でも、在職中に
亡くなった父さん
その家族を
気遣ってくれる
父さんの元同僚とか
多かったみたいで
公務員向けの割引券を
母は、貰えたみたいだ
公務員向け割引き券って
よく考えれば
ふざけた話だけどね
ただ、友だち付き合いの多い
兄さんは、結局
何度も、貰って
また、遊びに行っていた
でも、ずっと
自分は、鬱のままで
友だちも、作らないから
あのプールは
行けないまま…
でも、そんな自分に
彼女が出来て
夏
そうだ❗️
彼女と行こう❗️
子どもの頃から
ずっと、燻っていた夢
でも、その夢は
やっと叶って
そして、自分だけじゃない
二人の夢、時間になった
太平洋を望んで
故郷の山々を背にして
入道雲
真っ青な大空
燃えたぎる太陽
降り注ぐ、日差し
プールは、人の波で
凄く、揉まれているけど
でも、彼女と自分は
二人だけで
はしゃいでいる彼女
二人だけの
夢のプール、時間…
