大きなプレハブの
平家の建物が、あった
火葬は、そこでするらしい
しろを、次男が抱いて
家族みんなで、中に入った
おばさんは、なんだか
本当の、お坊さんみたいな
ずっと、そんな
振る舞いで
雰囲気なんだけど
でも、多分
この霊園は
仏教寺院じゃないのは
間違いなくて
だから、おばさんが
僧籍じゃないのも
みえみえだし
じゃあ、詐欺じゃんと
言えなくもないけど
でも、家族みんなで
しろを、送る
雰囲気づくりを
してくれている
そう思えば
まあ、それは
それでも、良いかな
いのちの炎の
消えてしまった
しろの遺骸を
火葬炉に送る
その台に移して
棺箱はないけど
大好きな毛布や、タオル
おもちゃや、食べ物を
一緒に入れてあげた
あっちの世界へ行っても
毎日、ジャーキーを食べて
きゅっきゅって
おもちゃで遊んで
大好きな毛布や
タオルにくるまって
いつも、すやすや
出来るようにね
息子たちも、なんだか
凄く、神妙だ
まあ、おじいちゃんや
おばあちゃんたちとも
我が家は、同居じゃないから
初めて、家族が
火葬されちゃう訳だ
燃えて、無くなる
骨だけに、なっちゃう
そう言うことだ
でも、さすがに
お兄ちゃんたちも
もう、泣いてはなかった
そこで、おばさん
身なりも、態度も
すっかり、お坊さん風に
お経も、唱えてくれて
しろは、火葬炉に入る
人用の炉みたいには
大きくはない
きっと、いずれは
自分たちも、みんな
あんな風に
人用の炉に、入るんだろう
ただ、ちょっと
おかしな感じがするのは
僧衣のおばさんが
しろを、火葬炉に
入れたりの作業も
みんな、こなしてくれる
おっきな霊園なのに
みんな、一人で
やってるのかな
アシスタントも
いないんだな
でも、きっと
おばさんは
この里山まるまるの
地元の土地持ちで
この沿線の分譲地とか
ニュータウンの
新住民を、相手に
坊主じゃないけど
丸儲けしてるんだな、とか
自分は、相変わらず
ろくなことは、考えてない…
to be continued