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日記、日々の想い 

いぬのゆめって…

しろが、もう
寝たきりになって
しばらくしてだ
目を瞑ったまま
脚を、宙に
もがいているみたいで
苦しんでるのかなって
心配して覗き込んでしまった
でも、よく見ると
脚は、まるで
歩いているように
ゆったり回していて
目を瞑ったしろの表情は
凄く穏やかで
口元を、少し
むにゃむにゃと
させていた
妻も、心配して
覗き込んできたから
自分は,振り向いて
「ゆめを、見てるのかな」
話しかけていた
ふと、思いついて
出た、言葉だ
自分の後ろから
しろを、覗き込んだ妻も
「そうだね」って、言ってくれた
「あの広い公園を、
 走り回ってるのかな」って
何となく、そう思えたんだ
「きっと、そうだよ」
きっと、そうだ
そう思えた
だって、こんな
重い病気になってしまって
安楽死はないけど
強い痛み止めで
半ば、昏睡してるんだけど
何で、こんな
幸せそうな
顔をしてるんだろう
きっと、多分
しろの無意識の意識の
世界が、やっぱりあって
そこで、きっと
生まれてからいちばん
楽しかった事を
しているんじゃないかな
脚はもう、ゆっくりしか
回せないけど
きっと、夢のしろは
思いっきり、走ってるんだ
家族みんなで、日曜日の朝早く
あの公園なら
きっと、放してあげれるかなって
そう思ったんだ
だから、家族みんなで
出掛けた、あの朝
リードを外した
しろは、大喜び
脚の速いいぬだけど
あんな速く走ったのを
見たのは、初めてだった
まるで、競争犬みたいに
背を、弓なりにして
全力疾走
あっちの端っこで
こっちを見る
お兄ちゃんたちが
しろの名を呼びながら
追い掛ける
でも、引き寄せて
また、全力疾走
お兄ちゃんたちを、すり抜ける
お兄ちゃんたちは、どうしても
捕まえらなかった
あの日
きっと、あの日だ
夢の中のしろは
あの公園の芝生を
全力疾走して
お兄ちゃんたちを、振り切って
むにゃむにゃとするお口は
ざまあみろって
喜んでいるのかも知れない
いぬのゆめって
でも、あるのかな
いや、きっとある
でも、どんなゆめなんだろう…

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