子どものおまえは
お日様が、好きだった
故郷の海岸丘陵
遠く松原の先
海岸は見えなかったけど
大海原がのぞく
開けた先には、大平洋
遥かに、微か
O島も、見えた気がする
多分、記憶の改竄かな
でも、海岸丘陵から
大海原に続く
街並み、防砂林の松原
それは、光り輝いていた
お日様が、全て支配する
光の世界
日差しを燦々と浴びて
何時間でも寝そべっていた
そんなおまえも
思春期になると
燦々とした光の世界は
おまえを灼いた
こころのぬかるみが
灼かれて、干からび
決して、許されない
許される事のない
おまえ
おまえは。光から逃れて
もっと、闇に沈みたい
そう思って
真夜中
屋根に登った
果てしない
底無しの闇
寝そべれば
底無しの底に
身を委ねていた
そして、見上げた夜空
ただ、闇では無かった
満天の星空
その光は
闇堕ちした
そんなおまえでも
灼かれる事はない
燦々と降り注いで来ても
包まれ、癒された
そんな時だったか
東の空だった
下弦の月
優しく輝いている
その時のおまえには
程よい輝きだったか
おまえも、その光になら
呑み込まれて
包まれている
出来そうな気がした