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日記、日々の想い 

大雨、でもこの後、桜の開花が

 今日は、大雨だ。風も強い。当地は、春の嵐と言うほどでは無いが。ただ、明後日辺り、首都圏の多くの場所で、桜の開花となるらしい。首都圏の辺境の当地も、開花があるかも知れない。恐らく、観測史上最速で。この記録的な早い春の暖かさの訪れで、既に、広島や九州では、史上最速の開花があったと言う。
 桜は、特にソメイヨシノは、と言うことかも知れないが、葉を付けないままに、小ぶりな花を、枝いっぱいに開花させる。山桜の、孤高の巨大な古木と言うのもあるが、ソメイヨシノは、大抵、人工に植林されて、桜並木になる。すると、その地に足を踏み入れれば、花の渦に呑み込まれたような気持ちにもなる。
 桜の花は、その下で、宴会を開いて愉しんだりして、春の訪れを祝う
象徴のような明るい印象が、一般的なかも知れない。ただ、淡色の花だけに埋め尽くされてしまうと、やや無機質にも思えるその美しさは、寂寥感も感じる虚さも纏っているようにも思う。自分の思春期に、愛読した作家の一人の坂口安吾の作品に、「桜の森の満開の下」と言う小説がある。山中に住み、賊に落ちぶれた男の話。さらって来て、数多い妻の一人とした女に、そそのかされるままに、殺人を重ねる。最後は、桜の森の満開の下で、鬼の正体を現した女を手に掛けるが、また女は、元の姿に戻り、やがて女は、舞い落ちる桜の花びらと化して、男も桜吹雪の中に消えてしまうような話だ。
 怪談めいた話でもあるが、壮絶な人間の性の物語でもある。ただ、その結末が、桜の森の無数に花が舞い落ちる様に潜む、底知れない虚しさに、すべて呑み込まれてしまうことで終わることに、強い衝撃を、感じた。昔は、桜は、怖しい花とされていた背景もあるらしいが。
 ただ、坂口のこの作品は、自分の読書経験の中でも、特に大切に思っていた作家の梶井基次郎の「桜の樹の下には」と言う、とても怖ろしくて美しい、大好きな作品に啓示を受けたのでは、と思っている。梶井の作品には、「桜の樹の下には、屍体が埋まっている」と言う有名な一節がある。自分も、この一節から、桜の樹に対する新たな印象を、与えられた。
 桜の花の美しさは、その儚く散ることにある。やがて、葉桜になるのだが、その新たな生命の逞しい芽吹きにも、それ以前に、一瞬に散ってしまった花の儚さの余韻、その虚しさを感じてしまう。ああ、もう、花は散ったんだな、と。
 桜の花吹雪は、春の訪れの賑わいの象徴ではある。しかし、儚く散り落ちた花びらは、花見客の靴跡に、踏み躙られた無惨な姿を晒す。確かだが淡い、そんな春の訪れの足元には、おぞましく、醜いだけの屍体が埋まっている、と言うことなのだろうか。まあ、梶井の作品には、それ以上の詮索はすることもない。そんな様々に生まれた思いの余韻に、ただ浸っているだけで良い。
 しかし、自分の読書習慣は、思春期とともにほぼ終わり、その後の恋愛と結婚、子育てと家長としての責任と仕事の狭間に揉まれ続ける日々の中で、復活することは無かった。ただ、長く勤めた会社を、バブル崩壊後の不況の中で、希望退職で辞めた後に、桜の花を愛でることは、多くなった。最初の会社員時代も、花見はしたが、それは、同僚たちとの花見にかこつけた宴会で、花など、まともに見ることなど無い。飲んで騒いだだけだった。
 ただ、退職後に、失業保険による長い休暇を享受していた期間には、そんなことは無かった。その折角の時間に、長年の営業マン生活の不摂生で、すっかり肥満してしまった身体を、減量することにした。規則正しい食事と、徹底した運動で、4ヶ月で25キロ、最終27キロの減量を、実現した。体脂肪率最低6%と、始める前には、想像も出来なかった成果を得られた。運動の内容は、室内でも鍛えたが、基本は、思いっ切り屋外に出て、ウォーキングから始め、ジョギング、サイクリングをした。他人のペースに惑わされるのが苦手なので、基本一人でやった。その過程で、春になり、訪れる先々で、美しい花々に出会い、そんな趣味などなかった自分も、様々な花々を楽しんだ。
 近くの丘陵地帯に、広大な県立公園がある。下ると、大河川のT川水系の広大な湖沼で、畔を行く長大な自転車周遊道路がある。その辺りでは、様々な花を楽しめるが、桜並木も、孤高の山桜の巨大な古木などもある。かつてなく、桜の花を愛でることも出来て、写真にも、随分と、撮ることが出来た。
 ただ、それも、若い頃の大怪我を原因とする膝関節症の発症と悪化とともに、ままならなくなった。膝に悪い影響があることは知っていたのだが、出来ることになった喜びで、舗装路で、ジョギングをすることを我慢出来なかった。走りは、発症して直ぐに止めたが、歩きもあまり出来なくなっていった。高齢者になって、手術を決断さぜるを得なくなってしまった。フルタイムの仕事を退職し、膝の人工関節置換手術を受けた。膝の耐え難い痛みからは、解放された。しかし、多分、若い頃の下腿の大怪我の後遺症か、脊椎の曲がりの影響で、足元に痺れが出て、長時間は歩けない。だから、桜が開花しても見に行くことは、難しい。公園や、湖畔を周遊して、花々を楽しむことも、出来なくなってしまった。ブログに、写真を添付するようにしたが、昔のように、時々に撮って投稿することは、難しくなっている。
 だから、花々や、風景の写真などを撮って、投稿されている皆さんのブログを拝見して、楽しませ頂いている。また、今朝、人工股関節手術を受けられた方の投稿にも刺激されて、この最後のエピソードも書いてみた。近々、自分の膝関節症の発症経緯とか、手術、リハビリなどの体験も、投稿してみたい。
 
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