こいぬを、捨てるひと
いや、いるんだよな
捨てるひとは、さ
よく出来るよね
自分の子どものいのちだって
捨てられる位だからかな
痛いよね
気持ちが、凄く痛い
だから、あの子を
拾ったとは言わない
いのちを拾う程
おまえは
偉そうなもんじゃない
一緒にいたかったのだと思う
おまえは、結構ひとり
この子は、本当にひとり
おまえに、呼びかける
消え入りそうな声で
おまえを見上げて
見つめて来る
助けてよ、と
言っていたのだと思う
でも、おまえには
ひとりぼっちのおまえには
一緒にいようよ、と
言ってくれたように思えた
だからだと思う
逃げるふりをして
ついて来てくれるだろうか
振り返って
…抱き上げ
抱き締めていた
温かった
きっと、あの子も
温かさを、感じてくれた筈
そして…捨てた
あの子を捨てた
一緒にいようよ
かも知れないけど
本当は、助けてよ
そうだったのだと思う
もっと、おまえは
強くならなければ
ならなかったのだと思う