見出し画像

日記、日々の想い 

荒れた海辺

その年は、何度なく
台風が来た年だったか
隣り街の海岸を
歩いていた
隣り街と言っても
川を一本隔てた反対側
何と言う事はない
隣り街には
防潮堤があった
10メートル位か
今から、思い返せば
津波対策だったのか
大正の時代には
関東には、震災があった
その震源は
故郷の海に近かった
ただ、その時のおまえには
その防潮堤は
湾の真ん中から
大平洋迄、見晴らせる
丁度良い場所で
ましてや、波が荒い
ささくれて
いじけ果てた
思春期引きこもりには
丁度良い、荒涼
「荒れた海辺」と言う
翻訳の小説があった
何と言う事はないが
その日の海辺
だだ広い砂浜は
「荒れた海辺」だった
秋の終わりの頃か
高波は、砕けて
砂浜を這い上る
いや、何より
その火葬だった
大嵐の爪痕
堆く、見渡す限り続く
広大な浜辺を
埋め尽くしていた
流木と生活ゴミ
瓦礫の山
その火葬だった
こんな瓦礫の山
どうするんだろうか
暫く前に、歩いた時
そう思っていた
それが、焼かれていた
焼け残って
埋み火を孕んで
ちかちか、まだ燻る 
おまえは
鬱勃としたまま
荒れた海辺
燻り続ける
その瓦礫の山を
ぼんやりと眺めながら
ただ、歩き続けた
確かな記憶
でも、分からない
あんな事を
するのだろうか
それとも、あの頃
ささくれ立ったまま
あのおまえ
こころの中だけ
その風景…
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「徒然」カテゴリーもっと見る