真夜中、その闇に…

ちょっとね
真夜中だけど
ゴミ出し
しちゃおうかな
思い立った
そう、そんな
ルール違反は
おまえは、時々する
まあ、資源ゴミだからね
カラスに、狙われる
そんな、心配もない
まあ、良いさ
いや、良くはないけど
おまえは
いつも、そんなやつだから
仕方が、ないよね
いや、仕方なくないけど
仕方ない
まず、玄関灯と門灯
スイッチを、入れた
さあ、ゴミ袋だ
今日は、２つだね
脚が、悪いから
ゴミ袋は、軽いけど
サンダルを
突っ掛けるだけで
ちょっと、よたつく
なんとか、玄関ドア
開け放つ、と…

夜だ❗️
真夜中‼️
闇は、底なし
いや、だけど
玄関灯は、明るい
浮かび上がる
植え込み
つつじ

闇に浮かぶ
満開の赤い花
階段を、降りて
門灯の鈍い光
足元が
なんとなく、危うい
門扉を、出て
駐車場から、道に出る
街灯

今は、みんな
ＬＥＤだからね
切り裂くような
光だ
近所の家々にも
ちらほら
灯りが、漏れる
今の時代は
みんな夜更かしだからね
ゴミを持って
ゴミステーションまで
まあ、この脇道の
突き当たる角だから
さあ、着いた
ゴミを、置いて
調整池沿いの道
向こうには
一筋違いの街灯
照らされた道筋

でも、前を向くと
調整池の闇
その底
深い闇
いや、その先には
対岸の街並み
点々と、街灯

もっと、見上げて行く
夜空だ

本当の闇だ
今日は、三日月
その細い月さえ
まだ、東の山陰だろう
暗い夜
真の闇
でも、きっと
目を凝らせば
満天の星なのかな
でも、街灯に
くらんで、間もない
この目には
その姿は
浮かんで来ない
もちろん、こうして
この街の、あちこち
街灯、家の灯
点々と、灯っていて
おまえを、ほっこりと
包んでくれているけど
それでも、なお
こうして、底なしの闇が
空から、降り注いできて
おまえは
その闇に
ただ、呑み込まれて
やがて、溶け果てる…