やっぱり、枯れる
花は，枯れるんだ
所詮、枯れるんだよ
綺麗？
いやいや、
綺麗の先は、
枯れた花びらで、
散って、
日に灼かれて、
雨に打たれて、
土に還る
でも、それは、
きっと、マシな方だな
今の街では、
アスファルトと、
コンクリートで、
決して、
土など、
還れるはずもない
腐り果てて、
塵と消えて、果てるのだ
もう、知ってるんだよ
あの、死の結核病棟の、
叔父の骸は、
ただ、もので、
綿で、すべてを塞がれた
どこにも、戻ることを、
絶対に、許されない
ただの、ものだった
でも、そのものは、
有機だから、
腐り果てて、
蛆に、喰い尽くされて、
ただ、薄汚く、
腐臭を、放ちながら、
吐き気の中で、
朽ち果て、消え去るしかない
だから、火で焼いて、
せめて、そのおぞましい過程を、
省いてやるのさ
だから、だから、
自分は。
絶対に、死なない
死んでも、死なない
死は、ただ薄汚くて、
臭くて、おぞましいだけ
生きてる時の、
薄汚いこととか、
臭いこととか、
おぞましいこととか、
そんなことより、
よっぽど、酷くて、
救いようがない
だから、自分は、
死はいらない
生きることだけで良い
死んでも、死なないけど、
でも、死は来るのだろう
だから、死ぬまでは、
絶対に死なない
…
枯れた花びら、
この花びらは、
もう散る時で、
散ったアスファルトで、
雨に打たれる
でも、自分は、
自分が、散りたくもないし、
アスファルトの上で、
雨に打たれて、
無様に薄汚れ、
朽ち果てたくもないから、
枯れた花びらを、
自分の手で、
絶対に、
散らしたりはしない
