バブル崩壊頃迄の日本は、とにかく、嫌な国でした。嫌で、嫌で、仕方が無かった。自分のように、死ぬなんて面倒臭いけど、前向きに生きるなんてことも、鬱陶しくてしょうがない。後ろ向きに生きますけど、それで勘弁して下さい、とか。そんな人間が、決して、勘弁して貰えることは、ありませんでした。
会社では、とにかく、あれしろ、これしろ、と。しろと言っても、いぬでは、有りません。会社が、毎年成長するのは、当たり前。給料も、毎年上がるよ。でも、会社が、成長するんだから、社員も、成長するのは、当たり前。そんなこと言われても、自分は、歩き方は,後ろ向きしか知らないから、後ろ向きにしか歩いたことが、ありません。
そんな無気力な奴には、給料やらないよ!えっ、嘘でしょっ⁉︎だいたい、気力の気って、なんですか?聞いたこと無いんですけど⁇いやいや、本当は、お前みたいな奴には、給料なんか、一円でも勿体ないくらいだよ‼︎
え〜〜っ⁉︎またしても、ムンクは、『絶叫』です。
とにかく、世の中、暑苦しかった。自分は、寒いのも嫌いだけど、暑いのも、たいがい嫌いでした。子どもの頃は、好きだったんですよ。暑いの。でも、どんどん、嫌いになりました。世間が、みんな暑苦しいのに、気候まで、暑かったら、たまりませんよね。
とにかく、他人の前を歩けと言われる時代だった気がします。そんなの自分には、かったる過ぎて、無理です。他人と、せめて、一緒に歩けと言われますが、それも、かなり疲れます。一番、後ろで、良いです。でも、落ちこぼれると、心配されたり,気を使われたり、内心は馬鹿にされて、せせら笑われて、それも、何だか、目立って、面倒です。だから、だるいけど、集団の最後尾には、付くようにしてました。
それでも、うっかりと、結婚して、あっ、ごめんなさい。これは、妻の方が、です。結婚したら、少しは、変わるか、と勘違いしたのでしょう。そんなの、無理です。子どもが、出来ます。少しは、変わるかと、勘違いされますが。そんなの、無理無理。
でも、気づくと。あれっ?仕事、頑張っちゃってる⁉︎もちろん、先頭には、立てる訳無いですよ。もともとが、やる気どころか、気そのものが、なんだか分かりませんって、言う人間なんですから。でも、気がつくと、意外と、これ、集団の最後尾じゃ無いよね。少し前?いや、後ろなりに、結構、前だったりして⁉︎
そんなこんなで、公団、あっ、いやURですね。大都市で、郊外の賃貸団地から、僻地の分譲マンション、やがて、ど田舎の一戸建てとなる訳です。ありがちな、サラリーマン悲劇を、結構な社会不適合者の自分が、追体験します。あれっ⁉︎
そうなると、仕事は、仕事で。せっかくの休みがあります。お盆に、正月に、GWなんてのがあります。本当、要りません。要らないんです。でも、孫が、いる訳です。義両親。独身の義叔母たち。父親は、亡くなっていましたが、実家には、母もいます。そんな休みには、みんな回らなきゃいけないんです。はあっ。だるいです。
だけど、そんな休みは、それで終わってはいけないんですよ。それが、世間の常識なんだそうです。家族がいるなら、連れて、遊びに行くのは、義務じゃ無いけど、義務らしいんです。はあっ、はぁっ。だる過ぎます。
学習塾をやっていた妻に言わせると、自分は、結構、時代を先取りしているそうなんです。今は、そんな引きこもり体質の人間が、あちこちに、いるらしいんですよ。引きこもり体質の自分が、知る訳は、ありませんが。今は、こんな自分でも、意外と生きやすい世の中に、なったんですかね?引きこもっているから、分かりませんが。
とにかく、妻もいて、子どももいます。休みになると、連れて、出掛けるのは、世間の常識なんだそうです。夫婦では、休みには、旅行か、帰省でした。はぁっ。子どもが、出来たら、それでも、旅行か、帰省です。はぁっ、はあっ…
喘いでいるのでは、ありません。ただの、ため息です。子ども連れの始めての旅行は、東北周遊でした。クルマです。妻の運転でした。やる気、いや、そもそも、気のない自分は、無免許でした。猪苗代湖。磐梯、吾妻。フルーツライン。仙台。松島。遠野、花巻。盛岡から小岩井牧場でした。でも、そんなのどうでも、良いんですよ。じゅ、じゅ、渋滞!80km‼︎
お盆休みの初日でした。と、言うか。会社で、残業して帰ったその晩に、出発しました。ちゃんと、大渋滞を警戒して。K県の郊外の団地の最寄りのインターで、乗りました。前日、深夜です。翌日の朝も遅くに、那須塩原でした。東北道の渋滞80kmでした。80kmの渋滞って、知ってますか?80kmが、延々と、そのまま移動して行くんですよ!だから、渋滞の出口なんて、無いんです‼︎そんな馬鹿な、と思われるかも知れませんけど。そうなんですよ。今でも、こうして、その渋滞を、思い出すと、渋滞に、嵌った自分が、います。はぁっ、はぁっ、はぁっ…
なんで、疲れないんですかね。妻は。同じ、人間とは、思えません。でも、本当は、疲れたのかも知れません。そう思うのには、理由があります。自分も、一応、免許を、取ったんですよ。その後、自分も運転して、旅行や帰省をこなしました。旅行は、妻の叔母の勤める女子大の軽井沢の寮に、何度か、行きました。安いので。家族は、男でも、泊まれるんです。必ず、警戒して、下道を、かなり使いました。渋滞を、結構、回避出来ました。要らない自信となります。半分以上、自分が、運転。そんな後の、GWです。会社の組合が契約するホテルが取れて、白馬から、黒部ダムに行くことになりました。何だかなあ。馬鹿なんです。やる気、いや気すら無いのに。行き帰り、自分が、運転すると言ってしまった。自分の運転技術を、馬鹿にする妻に対する、意地もあったと思います。それなのに、妻は、「あっ、そう。どうぞ。」… おかしい。嵌められたかな。やっぱり、妻は、あの東北道の渋滞が、意外と悪夢だったのかな、と。気づいても、もう遅かった。
でも、GWだよ。盆休みじゃない。まあ、大丈夫だろう。そんな感じでした。ただ、今のど田舎に、引っ越していましたから。長野方面は、一段と遠い。それと、もう、しろが、います。しろは、ホテルに泊まれないから、お留守番です。ペットホテルに、預けます。ただ、前日からと言う訳にはいかず、当日、預けます。オープン時間の朝6時に合わせて,出発。しろ、元気でね!ひぃ〜っひぃ〜っ。涙の別れを終えると、さあ、高速です。空港インターから。340km超。通常四時間半。渋滞予測20数kmです。な〜んだ、楽勝じゃん!と…
思ったんですけど、ね。あの東北周遊の、渋滞80kmの悪夢と比べれば。まず、東関道は、がら空きです。よしよしっ。いつも通り。湾岸から、首都高。がら空き。休みだからね。最高。の、筈が…
中央道でした。渋滞20数kmの。確かに、20数kmは、80kmの
三分の一でしょう。でも、やっぱり、そのまま、20数kmは、移動して行くんですよ。もうね、ここでも…
でした。はぁっ。20数kmは、結局、やっぱり、移動して行くんです。何とか、解けたのは、甲府西を、過ぎてからでしょうか。9時間でした。えっ、4時間半じゃないのかよ!
松本に寄るつもりだったんですけど。あれこれ、中止、繰延べの嵐でした。旅程は。夕方に、ようやく、家族4人、ホテルに、倒れ込みました。はぁっ、はぁっ…
もちろん、翌日は、トロリーバス。あっ、今は、無くなったんですね。ケーブルカー。壮観の、雪を残した立山連峰。黒部ダムに、黒部湖。さあ、ロープウェイ。はあっ。また、大行列。はぁっ、はあっ。でも、妻も、子どもたちも、無事挫けてくれたんで、その日は,そこで、終わり。翌日は、最初に諦めた松本に寄って、お城を。帰りは、何と、松本からでしたが、奇跡の四時間半。
まあ、二泊しかしませんでしたから、帰りのピークを、外せたんですよね。最後に、ひぃ〜っひぃ〜っ、しろのお迎えもして、家族四人と一匹は、我が家に、倒れ込みました。あの頃から,せっかく、あのうるさいだけのバブルが終わって、静かな不景気になってくれたのに。お盆と,正月は,時期がずれて取られるようになって、かえって、一番、集中して混むのが、GWになっていきました。ああ、怖しい。悪夢です。
でも、最近、随分と、良い時代になりましたね。何しろ、GWでも、出掛けないと、褒められる。少なくとも、変な目では,見られないんですから。