診断されていた
それが、どんな風なのか
今更、どうでも良い
今でも、すぐ喉は痛くなる
風邪気味になるとね
ただ、熱は出さない
だから、もう良い
小５で手術を受けて
熱が出さなくなって
身体も、丈夫になって
それで、どうでも良くなった
忘れたかったのかな
扁桃腺の癒着は
肥大ではなくて
すぐ化膿して
酷い高熱を出す
それだけじゃなくて
なかなか、治らない
抗生物質を処方してもらって
化膿が無くなるまで
治らなかった
どうしようもなかった
結局、手術も
主治医の先生の判断で
癒着部分は、取らない
半分だけ切除するとなった
でも、熱が出なくなったから
それで良い
取れると言う見立てもあった
ただ、主治医は
リスクを犯さない方が良いと
後で思ったのは
取ってくれれば、良かったのに
二度と喉が痛くならなくて
その方が良かった
完全に痛みから
解放されたかった
でも良い
半ば、終わったから
どうでも良くなった
扁桃腺の癒着とは、何か
化膿するとは、どんなか
半分切除とは、どう言う事か
みんな知らない
どうでも良い
忘れられる位にはなった
とにかく、悪夢だったから
すぐ高熱を出して、寝込む
寝込むけど、眠れない
眠れないけど
うなされた
結核で、早逝した
おじさんの笑顔と
真っ暗な結核霊安所
一本の蝋燭
白布が捲られて
痩せこけて尖った鼻梁
穴という穴には
脱脂綿が詰められた
無惨なもの
いのちの実相
身体の弱いおまえは
おじさんに似てると言われた
きっとああなる
眠れないまま
うなされて
繰り返し襲って来る
おぞましい霊安所、闇
とにかく、何もかも
思い出したくなかった
そんな記憶
黄泉がえり…
