昨年の秋、書棚整理中に「小倉百人一首」の解説本が 目に止まった。
多分 息子が学生時代に使っていたものを置いていったものだろう。至るところ、ピンク、黄色、緑等 マーカーだらけになったものだ。
ページを捲ってみると、なかなか詳しくわかりやすい解説本で
「へー!そーだったんだ!」
改めて目から鱗になってしまい、廃棄処分どころか、以来 座右の書にしている感有りだ。
子供の頃、歌意も何も分からずに、正月には必ず 炬燵から引っ張り出されて 冷たい座敷の畳で、父親が読み手となり、負けず嫌いの母親もまじえて 「百人一首かるた取り」をする習慣が有った。子供とて、直ぐ飽きてしまい、炬燵に戻って「坊主めくり」に興じるのが常だったが・・・・。
そんなことが有ったせいか、百人一首には 懐かしさ半分、未だに惹かれるものがある。
昨年秋、小倉百人一首には 「秋」を詠んだ歌が多いことを知り ブログにも書き込んだものだが 今回、「春」を詠んだ歌を抽出してみた。
小倉百人一首で春を詠んだ歌 その1
君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ
歌番号
15
作者
光孝天皇(こうこうてんのう)
歌意
あなたのためにと思って、
初春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖には、
雪が次々と降りかかってきますよ。
解説本によると
作者 光孝天皇は 55歳で即位した第58代天皇、
幼少の頃から聡明で信望が厚かった人物だったという。
天皇少くして(わかくして)聡明、
好んで経史を読む
容止(ようし・たちふるまい)閑雅、
謙恭和潤、慈仁寛曠、九族親愛す、
性、風流多く、もっとも人事に長ず。
(歴史書・日本三代実録)
この歌をもじった江戸川柳がある。
「うぬがため 春の野に出る なずな売り」
なずな売りにくる者は 自分の儲けのため
野原で摘み草をしている・・との意。
参照・引用
「小倉百人一首」解説本(文栄堂)
(つづく)