「嘘みたいな本当の話」〈日本版〉ナショナル・ストーリー・プロジェクト(選:内田樹/橋源一郎)
ネットで「実話」を集め、内田樹、橋源一郎、両氏が厳選した作品集。
短い話は1行、長くて2頁なので、読みやすい。(お出かけ読書にいいかも)
素人の書いた文章だけど、思った以上にマシ、というか読みやすい。(失礼!)
これには2つの理由があると思う。
①ネット上の文芸誌「マトグロッソ」で募集かけたから、それなりの作品が集まった。
②短いから粗が出る前に終わってしまう。
そんなわけで、かなり楽しめた。
全部で148作品、テーマ別になっている。
いくつか紹介する。
P41
自分の知り合いは、彼女と別れるときにベッドを彼女にあげたそうです。それから1年後、新しい彼女ができて、その新しい彼女の部屋に行ったら、なんと前の彼女にあげたはずのベッドがあった!「どうしたの、このベッド?」って聞いたら、「寿退社した先輩にもらった」。
当人は「彼女は変わったが、ベッドだけは変わらなかった・・・・・・」と言っていました。
P42
10歳のときからいままで28年間に、8回、財布を落とした。
そのうち6回は誰かが拾ってくれて、戻ってきた。
日本は良い国だと思う。
P49
駅の近くの十字路のすべてに猫がいて、互いに見つめ合っていた。
P134
ある夜、田舎の暗い道でのこと。
ヘッドライトが片方しかついていない車が信号待ちをしていた。「あ、片っぽ切れてる」と思った次の瞬間、残ったライトもふうっと消えた。
P282
するめが好きだ。
先日、思いっきり齧ったら、ムチ打ちになった。
P288
彼氏とけんかした。
少し言い過ぎたかな、と少し反省して、携帯を手にごめんねメールを打ち始めたところ、彼からもメールが。
「来週の合コン、かわいいこ頼むで」
「?」と思い電話すると、「えっ、俺、おまえに送った!?」
と動揺する彼。黙って電話を切りました。
【ネット上の紹介】
[要旨]
泣いた、笑った、驚いた!日本中から届いた149の実話たち。
[目次]戻ってくるはずがないのに、戻ってきたものの話;
犬と猫の話;
あとからぞっとした話;
空に浮かんでいたものの話;
変な機械の話;
おばあさんの話;
私が会ったなかで、いちばん粗忽な人の話;
そっくりな人の話;
マジックナンバーの話;
ばったり会った話〔ほか〕