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「手のひらの音符」藤岡陽子

2018年08月10日 20時13分12秒 | 読書(小説/日本)


「手のひらの音符」藤岡陽子

デザイナーの水樹は、40歳半ばにしてリストラ対象となる。
勤めている会社が復職業界から撤退するから、と。
いったいどうしたものか?
そんなある日、世話になった恩師の入院の知らせが入る。
物語は、現在と過去をカットバックしながら進行する。
それにつれ、人物造形が深まり物語の奥行きが増してくる。
家族問題の様々な問題が描かれる。
発達障害、貧困、離婚、いじめ、ギャンブル依存と重いテーマ目白押し。
最後まで目を離せない展開だ。

P86
人と人との繋がりは、出逢いの一点はいつも明確なのに別れの一点はたいてい曖昧で、後から思えば伝えたいことはたくさんあったのに最後にどんな言葉を交わしたのか、思い出せない。

【おまけ】
京都が舞台なので親しみがもてる。
東向日と西向日の間に西国街道がある。
競輪場、向日神社もある。
そのあたりが舞台となっている。

【ネット上の紹介】
デザイナーの水樹は、自社が服飾業から撤退することを知らされる。45歳独身、何より愛してきた仕事なのに…。途方に暮れる水樹のもとに中高の同級生・憲吾から、恩師の入院を知らせる電話が。お見舞いへと帰省する最中、懐かしい記憶が甦る。幼馴染の三兄弟、とりわけ、思い合っていた信也のこと。“あの頃”が、水樹に新たな力を与えてくれる―。人生に迷うすべての人に贈る物語!