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「火の柱」ケン・フォレット

2024年01月12日 08時26分22秒 | 読書(小説/海外)

「火の柱」(全3巻)ケン・フォレット

『大聖堂』『大聖堂―果てしなき世界』につづく作品。
英国史でも、特におもしろいところ。
群像劇が、ヨーロッパ各地を舞台に展開する。

①P64
「ヘンリー八世は3人の子を残されました」(中略)「長男のエドワード六世は幼くして王位を継がれ、跡継ぎを為す前に去られました。というわけで、そのあと、ヘンリー八世の長女のメアリー・チューダーが王位を継承されました。理屈の上で当然のことですが、もしメアリー女王が子を為さずに他界されたら、王位を継ぐのはヘンリー八世のもう1人の娘、すなわちエリザベス・チューダーということになります」
(中略)
「エリザベスは庶子です!ヘンリー八世は彼女の母親を真に正式な妻としては迎えていません。先妻との離婚を教皇が認めていませんからね」
(中略)
「離婚は議会で承認されています」

①P66
「メアリー・スチュアートはヘンリー八世の姉の孫娘に過ぎません。しかし、エリザベス・チューダーはヘンリー八世の娘です」
(中略)
「メアリーはフランス語とスコットランド語を話すけれども、イングランド語はほとんど話せないと聞いている」

③P23・・・聖バルトロマイの大虐殺
パリでは、市民が無防備な女性や子供を何千人も惨殺している。どうして神はそれをお赦しに鳴るのか?教皇がフランス国王に手紙を送って祝意を表わすとは、いくらなんでもあんまりだ。

③P103
十字架を身につけているのはカトリックの証で、プロテスタントはそれを偶像崇拝と見なしていた。

③P374
結局は、メアリー・チュダー女王―”血塗れのメアリー”―が殺したプロテスタントと同じくらい多くのカトリックの命を、エリザベスも奪うことになったからだ。メアリーは彼らの信仰を咎めて殺し、エリザベスは彼らを反逆者として殺した。

*********

ヘンリー八世のあと、短いサイクルで政権が変わった。
カトリック優勢になったり、プロテスタントになったり。
エドワード6世→メアリー・チューダー→エリザベス・チューダー
ヘンリーの最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴン
↑ヘンリーの最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴン
メアリ-1世を生む。
メアリーは、プロテスタントを大量処刑してブラッディ・メアリーと言われる。
ヘンリーの2番目の王妃アン・ブーリン、1534年に描かれた肖像画の模写
↑ヘンリーの2番目の王妃アン・ブーリン
議会はキャサリンとの離婚を認めたが、バチカンは認めなかったので、「庶子」扱いかでもめる。エリザベス1世を生む
ヘンリーの3番目の王妃ジェーン・シーモア
↑ヘンリーの3番目の王妃ジェーン・シーモア(エドワード6世を生む)
エドワード6世は、マーク・トウェイン「王子と乞食」の主人公。

ややこしいのは、メアリー1世がもうひとりいること。
スコットランド女王=メアリー・スチュアート。(カトリック)

メアリー=マリア、なのでカトリック系の方に好まれる名前。
カトリックはマリア崇拝なので、教会にマリア像があったり、マリア様の肖像画が飾ってあるのは、カトリック教会。
プロテスタント教会は、マリア崇拝せず、教会内も飾り立てていない。
それにしても、キリスト教徒どうし、なぜ殺し合うのか?
教祖イエス・キリストも想定外と思われる。
結論として、宗教には過激な要素が織り込まれている、と。
それはイデオロギーと似ている、と感じた。

「プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで」深井智朗 

「キリスト教と戦争」 石川明人

【ネット上の紹介】
16世紀中葉のイングランド。大聖堂を擁する河畔の商業都市キングズブリッジで貿易を営むウィラード家は、カトリックでありながらもプロテスタントに対しても寛容な家柄だった。一方、商売敵でもあるフィッツジェラルド家は頑ななカトリックで、両家の仲は決していいとは言えなかった。ネッド・ウィラードとマージェリー・フィッツジェラルドは恋仲だったが、彼女の両親の反対にあって引き裂かれる。失意のネッドはサー・セシルを頼ってエリザベス・チューダーの下で仕事をするようになるが…。