「秘密 パレスチナから桜の国へ母と私の28年」重信メイ
重信メイさんと言っても分からないかもしれない。
日本赤軍の元最高幹部・重信房子の娘、である。
海外で生まれ、母は国際指名手配だったので、戸籍がない。
だから、日本に来る時、パスポートがないので苦労している。
幼少期から、成人して日本に来るまでが書かれている。
全編に母への愛情が感じられる。
P20
母が闘った三十年間の活動は、常に正反対のふたつの評価を与えられてきた。その結果、母は、ふたつの顔を持つことになってしまった。
ひとつは、パレスチナ民族解放のために命を賭けて闘った日本赤軍のリーダーとして、アラブ社会から敬愛されていた「英雄・重信房子」の顔である。
もうひとつは二十六名の死者を出した72年のリッダ闘争をはじめ、いくつもの「国際テロ事件」を引き起こした日本赤軍のリーダーとして、イスラエル、日本の政府などから追われていた「テロリスト・重信房子」という顔である。
私は、アラブ社会で生まれて育った。だが、重信房子の娘としてアラブ社会に受け入れられていたわけではない。私は、母の娘であることをひたすら隠し、日本人であることを隠して、住所を転々としながら生きてきた。
P121
母は、いつ殺される、いつ死んでしまうか、いつ逮捕されてしまうかわからない人だった。だから母は、自分がいなくなっても私が1人で生きていけるよう、自立して生きていける人間になるようにと願って、育てたのだと思う。
【ネット上の紹介】
日本赤軍のリーダー、国際的なテロリストとして世界に名を轟かせた重信房子に一人の娘がいた。メイである。数奇な運命にも負けず聡明で、心やさしく、感性豊かなメイが綴った、驚愕の手記!
[目次]
第1章 桜の国へ
第2章 太陽を握って生まれてきた娘
第3章 戦火の下で
第4章 母の記憶
第5章 中学高校時代
第6章 大学生活
第7章 母との再会
第8章 日本で歩き始めて