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「ふしぎなキリスト教」橋爪大三郎/大澤真幸

2012年06月25日 22時15分32秒 | 読書(対談/鼎談)

2012年 第5回 新書大賞受賞。 中央公論2012年3月号
内容も濃くて、よくできている、と思う。

P48
そもそも、罪とは何か。罪を定義するなら、「神に背くこと」です。(中略)
キリスト教だけが、これに加えて、原罪という考え方を持っている。(中略)
人間そのものが間違った存在であることを、原罪という。

P67
大澤 祈りの最後に「アーメン」という言葉をつける場合が多いですね。これはどういう意味ですか?
橋爪 これはもともとユダヤ教のもので、キリスト教、イスラム教にも伝わっているけれど、「その通り、異議なし」という意味です。新左翼が集会で「~するゾー」「異議ナシッ!」とやってるけど、あれと同じです。
大澤 「アーメン」というのは、人の言うことを確認し、合意することで、いわば反復するような言葉なんですね。

P88
偶像崇拝がいけないのは、偶像だからではない。偶像をつくったのが人間だからです。人間が自分自身をあがめているというところが、偶像崇拝の最もいけない点です。

P198
隣人愛のいちばん大事な点は、「裁くな」ということです。人が人を裁くな。なぜかと言うと、人を裁くのは神だからです。人は、神に裁かれないように、気をつけていればいい。神に裁かれないためには、自分がほかの人を裁かないということです。愛の中味はこれなんです。
(死刑廃止論がキリスト教圏で多いのは、これが理由か?byたきやん)

P256
東方教会と西方教会が分裂したのは、スポンサーであるローマ帝国が、テオドシウス帝の死後、東西に分裂したからです。(中略)「正統」教会も「カトリック」教会も、「本物」の教会の意味。温泉まんじゅうの「元祖」と「本舗」のようで、どっちがほんものかわからない。

P262
八木さんが強調していたけれども、西ヨーロッパで人びとが、キリスト教に改宗する以前に信じていたのは何かというと、ドルイド教である。ドルイド教はもともと、ケルト人の宗教で、ケルト社会、ドルイド教の祭司たちの社会的地位はきわめて高かった。そのように、宗教の権威を認めていたので、キリスト教に改宗しても、王たちが聖職者や教会関係者をことのほか尊敬し、優遇する素地があった。

P304
利子は、キリスト教徒の間ではもともと禁じられていました。とりわけ、中世には厳しく禁じられていた時期があって、利子を取ることは最大の罪の一つで、神の意志に反するものだとされていた。金貸しは神の国に絶対に行けないと考えられていました。(中略)
これはもともと、ユダヤ教の律法から始まった。ユダヤ教は、利子を取ってはいけないのだが、それはユダヤ教徒同士の場合で、異教徒から取ることは禁止されていなかった。だから、キリスト教徒は、ユダヤ教徒からお金を借りればいい、利子を払って。
(これが「ベニスの商人」ベース部分と思われる)

先日、「聖書を語る」を読んだ。
比較したら、「聖書を語る」の方が、親しみやすい内容。
今回の「ふしぎなキリスト教」の方は、広範囲で構成も練れている。
ただ、全容を理解するには、それなりの知識が必要。

【ネット上の紹介】
日本人の神様とGODは何が違うか?起源からイエスの謎、近代社会への影響まですべての疑問に答える最強の入門書。挑発的な質問と明快な答え、日本を代表する二人の社会学者が徹底対論。
[目次]第1部 一神教を理解する―起源としてのユダヤ教(ユダヤ教とキリスト教はどこが違うか;一神教のGodと多神教の神様;ユダヤ教はいかにして成立したか ほか);第2部 イエス・キリストとは何か(「ふしぎ」の核心;なぜ福音書が複数あるのか;奇蹟の真相 ほか);第3部 いかに「西洋」をつくったか(聖霊とは何か;教義は公会議で決まる;ローマ・カトリックと東方正教 ほか

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