「炎の色」ピエール・ルメートル
1927年、パリから物語が始まる。
マドレーヌは父の莫大な遺産を受け継ぐも、信頼していた複数の者に裏切られ、地位も財産も失い、1人息子のポールも不可解な事故で車椅子の生活となる。
前半3分の1が1927年から1929年が描かれ、残りが1933年を時代背景に復讐劇となる。
P346ー347
「あなたが言っているのは、ファシズムやナチズムですよ。それは別物だ」
マドレーヌはむっとした。
「でも共産主義は、混乱を撒き散らそうとしているのよ。道徳も神様も否定しているんだわ」
「だったら神様が、あなたを助けてくれましたか?」
P372
代議士の仕事は人づき合いにあると、シャルルは常々考えていた。"司祭のようなものだ。アドバイスを与え、もっとも従順な者たちに輝かしい未来を約束する。司祭もわれわれも、抱えてる問題は同じ。まずは人々がミサに来なければならない”。
【おまけの感想】
当時のフランスを中心としたヨーロッパ情勢が描かれていて興味深い。
本作品はよく出来ていて面白い。
ただ、復讐譚と言うと、「モンテクリスト伯」だ。
残念ながら、これを超える作品は、未だに出ない。
【ネット上の紹介】
1927年2月、パリ。一大帝国を築き上げた実業家が死んだ。その長女マドレーヌ・ペリクールは、幼い一人息子ポールとともに、父の莫大な遺産を受け継いだ。しかし、事故に遭ったポールの看護に努める彼女は、自らを取り囲む悪意に気づかなかった―。やがて裏切られて地位も資産も失った彼女は、復讐を決意する!戦火が迫りつつある時代を舞台とした、息もつかせぬ群像劇。ゴンクール賞・英国推理作家協会賞受賞作『天国でまた会おう』に続く三部作第二弾。