「総員玉砕せよ」水木しげる
南太平洋・ニューブリテン島の玉砕を描く。
極限状態を描きながらも、ユーモアも漂う。
水木漫画の真骨頂、である。
ピー屋の風景
「皆さんもう五時ですからおしまいですよ」
「ねえちゃんあと七十人位だがまんしてけれ」
「爆弾の穴にな青いバナナを入れておくとな」
「うむ」
「あくる日には真黄色なバナナになるぜ」
「ほーかあ」
P356
将校、下士官、馬、兵隊といわれる順位の軍隊で兵隊というのは“人間”ではなく馬以下の生物と思われていたから、ぼくは、玉砕で生き残るというのは卑怯ではなく“人間”として最後の抵抗ではなかったかと思う。
言葉を失うシーンが満載・・・である。
【おまけ】
体験を元に書かれている。
昔、「お父さんの戦記」を読んでいるので、エピソードがかぶる。
でも、文章で読むのと、画として漫画で読む違いがあるので、どちらも捨てがたい味がある。
【ネット上の紹介】
昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える感動の長篇コミック。