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「限界風俗嬢」小野一光

2022年05月03日 07時28分15秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「限界風俗嬢」小野一光

禁句がある、という。
「どうしてこんなことやってるの?」、と聞くこと。
事情があるからに決まってるでしょ!
それを、さほど親しくもない人間が聞いてはいけない、と。

普通に生活していたら、出会うことのない女性たち。
本書は、著者が我々の代わりに彼女たちに会って、「事情」を聞き取り調査した作品。
登場するのは次の7人。

第1章 SMクラブで働く文学少女・アヤメ
第2章 歌舞伎町で働く理系女子大生・リカ
第3章 アヤメ その後
第4章 リカ その後
第5章 セックスレスの人妻・ハルカ
第6章 処女風俗嬢・カオルの冒険
第7章 育児と介護と風俗と―妊婦風俗嬢・アヤカ
第8章 90年代の女子大生風俗嬢・ミホの現在
第9章 生きるための居場所―SM嬢・アザミ

パパ活について
P160
「どうやって相手を見つけるの?」
「それがいろいろあるですよ。事前に調べたんですけど、ツイッター上で募集する人もいるし、あとアプリみたいなのがあって、それで募集したりとか、それこそ登録制のクラブみたいなのもあるんですね。私の場合、最初はアプリでやってみたんですけど、そのときはあまりカラダの関係とか考えてなくて、お食事だけにしたかったんですよ。で、探してみたんですけど、やっぱりそれだと相手がいない。しかも来るメッセージが、『一回二万円でどうですか?』とかで、"安っ!"て感じなんですよ。そういうのばっかりで、アプリはすぐに止めちゃったんです」
「そのときはこっち側は金額とか書くの?」
「そうですね。こっちから提示する場合は、〈こっちはお食事1(万円)で考えてます〉とかって書いたり。でも、それに対してさっきの、二万円で本番みたいなメッセージばかり来るんで、〈すいません、それじゃ条件合わないんで〉で、終わり、みたいな」
「食事1万円ってのは成立しなかったんだ」
「しなかったです」
「それで、どういうふうにやり方を変えていったの?」
(・・・続き気になったら、実際読んでみて)

シモ系のAVに出演する
P175
「ウンチするとめっちゃもらえるんですよ、おカネを」
「いくらだったの?」
「オシッコだと1回六千円だとか・・・・・・」
「安っ!」
「エヘヘヘヘヘ・・・・・・」
「ウンチだと?」
「ウンチだとバイの一万二千円とか。オナラは1回三千円ですね」
カオルの口にする単価があまりに安すぎて、デフレもここまできたのか、正直驚いた。
(私は、別の意味で驚いた・・・そんなビデオ、買う人がいることに!)

P200
「若い客層と、そうでない客層だと、どういう違いがあるのかなあ?」
「なんか、若いお客さんって全部任せるって傾向がありますね。だから私がいろいろ動いていました。逆に慣れてる年配のお客さんは、向こうからガツガツ来る感じで、積極的に責めてくるんです」

【ネット上の紹介】
性暴力の記憶、毒親、貧困、セックスレス――それぞれの「限界」を抱えて、身体を売る女性たち過去の傷を薄めるため……。「してくれる」相手が欲しい……。そこには、お金だけではない何かを求める思いがある。ノンフィクションライター・小野一光が聞いた、彼女たちの事情とは。著者が20年以上にわたる風俗取材で出会った風俗嬢たちのライフヒストリーを通して、現代社会で女性たちが抱えている「生と性」の現実を浮き彫りにするノンフィクション。【目次】第一章 SMクラブで働く文学少女・アヤメ第二章 歌舞伎町で働く理系女子大生・リカ第三章 アヤメ その後第四章 リカ その後第五章 セックスレスの人妻・ハルカ第六章 処女風俗嬢・カオルの冒険第七章 育児と介護と風俗と――妊婦風俗嬢・アヤカ第八章 ミレニアム世代の風俗嬢・ミホの現在第九章 生きるための居場所――SM嬢・アザミあとがき【著者プロフィール】おの・いっこう 1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。著書に『灼熱のイラク戦場日記』『風俗ライター、戦場へ行く』『新版 家族喰い――尼崎連続変死事件の真相』『震災風俗嬢』『全告白 後妻業の女』『人殺しの論理』『連続殺人犯』『冷酷 座間9人殺害事件』などがある。

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