今日は自宅の近所のR宮の縁日だったのでお参りにいった。
普通お宮の縁日と言うとフランクフルトとか綿菓子とか
金魚すくいなどだけれどここのお宮は縁日の日は
お花やさんとかパッチワークとかステンドグラスとか
アートフラワーなどアート系の露店がでる。
ちょっとかわったお宮だなと思う。
境内には桜、祇園桜、松、もみじなどいろんな木が植えてある。
紅葉はどのような感じだろうかと境内を一回りしたら
桜は紅葉が進んでいて、もう葉っぱが散っている木も多かった。
ただ、一本だけまだ葉の青い桜があった。
桜にも個体差があるんだなと思う。
もみじの方はまだ一部紅葉しているだけだった。
よく見ると日向のもみじはまだ青いけれど
日陰のもみじは紅葉している。
また同じ木のなかでも低いところの葉は紅葉していて
高いところの葉はまだ青い。
低いところの葉の方が上の方の葉で光を遮られるからだろうな
と思う。
一通りお参りをして境内も見てそれから
境内の腰掛け天神のところへ行って
天神さんのお歌を見た。
十回以上お歌を唱えて覚えてしまおうと思ったのだけれど
どうも覚えられそうにもない。
それでノートにお歌をメモした。
ところがそのお歌は草書というかくずした文字で
書いてあるので一部判読のしにくいところがある。
それで、僕はお歌をノートに写した上で社務所にいった。
ブザーを押すと宮司さんの奥さまとおぼしき方が
出てこられた。
それで僕がノートに写したお歌を奥さまに見せて
ここがちょっとわからないんですがというと
奥さまはたしか正式に書いたものがあったはずなのですが
と社務所のあちこちをさがしてくださった。
しかし、どうもみつからないようで奥に行って
宮司さんを呼んできてくださった。
宮司さんはちょっと見たところ僕の父と同じくらいか
父よりちょっと上といった年格好に見える。
宮司さんにもお歌を写したのですが字がちょっと
崩してあるのでわからないところがあるんですと僕は言った。
宮司さんは僕がノートに写した歌をご覧になって
頭に手をやって
「この歌は大切な歌なので覚えていたはずなんですが
今、私、別の文章を書く仕事をしてましたので
頭があちらからこちらに切り替わらないんですよ
えーどどうやったかな。もうちょっとで出かかってるんですけど
ちょっとでてきませんわ。ここは の やったかなあ」とおっしゃった。
「古文の の は主格で使われますので の で意味は通りますねえ」と僕は言った。
「そう。いやどうやったかなあ。あたまがなかなかあちらからこちらに
切り替わらないんですわ。ちょっと私もあやふやです」と宮司さんは言った。
「そうですか」と僕は言った。
「でも、これは有名な歌やから、今時はネットで出てきますよ」と宮司さんは言った。
「そうですか、僕はなんでもネットで検索して調べるタイプですから
一度調べてみます。ネットはこのノートに写した歌を
入れて検索すると、写し方が少々間違ってても正しい歌を表示
してくれますからね」と僕は言った。
「そうです。そうしてください。私もあやふやなことを言うと
そのあやふやな情報が一人歩きしますからね」と宮司さんは言った。
「まあ、今時はネットで誰でも情報が発信できる時代ですからね」と僕は言った。
「そうねんですよ。それで困ることもあるんです」と宮司さんは言った。
「まあ、ここのお宮はいろんな古文書もあるから
全部覚えていたらきりがないですよね」と僕は言った。
「そうなんです。全部覚えようとしたら私はもう寝る暇がありません。
もう覚えようなんて思ってません」と宮司さんは言った。
「そういうのは宮司さんの仕事ではなく学者の仕事ですよね」と僕は言った。
「そうです。私も詳しい調べごとは学者さんに任せてます
ところがたまに、助手やなんかに調べさせて自分は
監修の印鑑を押すだけという学者さんもおられるので
そういうのもまた困るんですわ」と宮司さんは言った。
「まるでNS自動車の安全チェックのやりかたと同じですね」と僕は
言おうとしたけれど宮司さんにそれを言うのは不適切と思いやめた。
なるべく、神職さんにはまがごとのたぐいは口にしない方がいいとおもって。
「でも、わからないことは正直にわからないと言った方が
気が楽ですよね」と僕は言った。
「そうなんです。私も話すなら正確にはなしたい
あやふやなことは言いたくないというタイプですのでね」と宮司さんは言った。
その宮司さんのお気持ちわかるような気がする。
「でも4月のこのお宮の大祭の時に宮司さんが祝詞を読まれるのを
僕、本殿の横で聴いていましたが
宮司さんよくお声が出てますね」と僕は言った。
「ああ、そうですか。たまに詩吟のように祝詞を読まれる方が
おられますがあれはよくないです。なるべく祝詞は平坦に読むのが
いいんです」と宮司さんはおっしゃった。
「そうですか。僕はふだん話をするときと同じ調子で祝詞を読みます」と僕は言った。
「それはけっこうです」と宮司さんはおっしゃってくださった。
普通お宮の縁日と言うとフランクフルトとか綿菓子とか
金魚すくいなどだけれどここのお宮は縁日の日は
お花やさんとかパッチワークとかステンドグラスとか
アートフラワーなどアート系の露店がでる。
ちょっとかわったお宮だなと思う。
境内には桜、祇園桜、松、もみじなどいろんな木が植えてある。
紅葉はどのような感じだろうかと境内を一回りしたら
桜は紅葉が進んでいて、もう葉っぱが散っている木も多かった。
ただ、一本だけまだ葉の青い桜があった。
桜にも個体差があるんだなと思う。
もみじの方はまだ一部紅葉しているだけだった。
よく見ると日向のもみじはまだ青いけれど
日陰のもみじは紅葉している。
また同じ木のなかでも低いところの葉は紅葉していて
高いところの葉はまだ青い。
低いところの葉の方が上の方の葉で光を遮られるからだろうな
と思う。
一通りお参りをして境内も見てそれから
境内の腰掛け天神のところへ行って
天神さんのお歌を見た。
十回以上お歌を唱えて覚えてしまおうと思ったのだけれど
どうも覚えられそうにもない。
それでノートにお歌をメモした。
ところがそのお歌は草書というかくずした文字で
書いてあるので一部判読のしにくいところがある。
それで、僕はお歌をノートに写した上で社務所にいった。
ブザーを押すと宮司さんの奥さまとおぼしき方が
出てこられた。
それで僕がノートに写したお歌を奥さまに見せて
ここがちょっとわからないんですがというと
奥さまはたしか正式に書いたものがあったはずなのですが
と社務所のあちこちをさがしてくださった。
しかし、どうもみつからないようで奥に行って
宮司さんを呼んできてくださった。
宮司さんはちょっと見たところ僕の父と同じくらいか
父よりちょっと上といった年格好に見える。
宮司さんにもお歌を写したのですが字がちょっと
崩してあるのでわからないところがあるんですと僕は言った。
宮司さんは僕がノートに写した歌をご覧になって
頭に手をやって
「この歌は大切な歌なので覚えていたはずなんですが
今、私、別の文章を書く仕事をしてましたので
頭があちらからこちらに切り替わらないんですよ
えーどどうやったかな。もうちょっとで出かかってるんですけど
ちょっとでてきませんわ。ここは の やったかなあ」とおっしゃった。
「古文の の は主格で使われますので の で意味は通りますねえ」と僕は言った。
「そう。いやどうやったかなあ。あたまがなかなかあちらからこちらに
切り替わらないんですわ。ちょっと私もあやふやです」と宮司さんは言った。
「そうですか」と僕は言った。
「でも、これは有名な歌やから、今時はネットで出てきますよ」と宮司さんは言った。
「そうですか、僕はなんでもネットで検索して調べるタイプですから
一度調べてみます。ネットはこのノートに写した歌を
入れて検索すると、写し方が少々間違ってても正しい歌を表示
してくれますからね」と僕は言った。
「そうです。そうしてください。私もあやふやなことを言うと
そのあやふやな情報が一人歩きしますからね」と宮司さんは言った。
「まあ、今時はネットで誰でも情報が発信できる時代ですからね」と僕は言った。
「そうねんですよ。それで困ることもあるんです」と宮司さんは言った。
「まあ、ここのお宮はいろんな古文書もあるから
全部覚えていたらきりがないですよね」と僕は言った。
「そうなんです。全部覚えようとしたら私はもう寝る暇がありません。
もう覚えようなんて思ってません」と宮司さんは言った。
「そういうのは宮司さんの仕事ではなく学者の仕事ですよね」と僕は言った。
「そうです。私も詳しい調べごとは学者さんに任せてます
ところがたまに、助手やなんかに調べさせて自分は
監修の印鑑を押すだけという学者さんもおられるので
そういうのもまた困るんですわ」と宮司さんは言った。
「まるでNS自動車の安全チェックのやりかたと同じですね」と僕は
言おうとしたけれど宮司さんにそれを言うのは不適切と思いやめた。
なるべく、神職さんにはまがごとのたぐいは口にしない方がいいとおもって。
「でも、わからないことは正直にわからないと言った方が
気が楽ですよね」と僕は言った。
「そうなんです。私も話すなら正確にはなしたい
あやふやなことは言いたくないというタイプですのでね」と宮司さんは言った。
その宮司さんのお気持ちわかるような気がする。
「でも4月のこのお宮の大祭の時に宮司さんが祝詞を読まれるのを
僕、本殿の横で聴いていましたが
宮司さんよくお声が出てますね」と僕は言った。
「ああ、そうですか。たまに詩吟のように祝詞を読まれる方が
おられますがあれはよくないです。なるべく祝詞は平坦に読むのが
いいんです」と宮司さんはおっしゃった。
「そうですか。僕はふだん話をするときと同じ調子で祝詞を読みます」と僕は言った。
「それはけっこうです」と宮司さんはおっしゃってくださった。