今日は本当に寒かったと思う。
日が暮れて間もない時刻に、大阪市内の駅のホームに立ったら、雪が舞ってきた。
雪が降るというよりも雪が舞ってくるという程度の降り方だった。大阪はそんなに雪が降らないので、珍しいことに思える。
立春すぎの雪。
立春を過ぎて雪が舞うのを見ると、伊勢正三さんのなごり雪の歌詞を思い出す。
“”汽車を待つ 君の横で 僕は 時計を気にしてる
季節はずれの 雪が降ってる。
東京で見る雪はこれが最後ねと
さびしそうに君はつぶやく“”
歌詞を見ると、情景も目に浮かぶし、また、いろんな物語も想像できる。
最近の歌は、こういうしみじみとした情景や物語がなくなってしまった、という話をときどき聞くことがあるけれど、そのとおりだなと僕も思うことがある。
学生の頃、やはり日が暮れた時刻に駅のホームに立っていたら、雪が舞ってきたことがあった。
ホームの僕の斜め前には西洋人の父と子が立っていた。
子供は5歳くらいの男の子だった。
雪を見て僕が「あっ 雪だ」と心の中でつぶやいた瞬間に、その西洋人の男の子は
“”oh snow (オー スノー)“”とお父さんの方を見上げてつぶやいた。
そのつぶやき方は、本当に柔らかい感じの思い入れたっぷりのつぶやき方だった。
僕と西洋人の男の子は、ほぼ同時に同じことを、つぶやいたことになる。
しかし 当たり前の話だけれど、「あっ 雪だ」と言うのと“”oh snow“”というのでは全然雰囲気が違う。
きっと西洋人の男の子は心の中でヨーロッパの雪を想像しながら“”oh snow“”と言ったのかも知れないと僕は思った。
そして“”oh snow“”という言い方は「あっ 雪だ」という言い方よりもロマンチックだと思った。
とは言っても、僕は西洋かぶれではないつもりだけれど、、、。
ただ、何気なくつぶやく言葉、そして音楽の中に、その国の雰囲気、風土と言うかそういうものが何となく現れるものだなと思う。
自宅の最寄りの駅まで戻ってきてスーパーマーケットで買い物をして、外に出て夜空を眺めると、もう雪はやんで、空にほとんど雲はなく、天空の一番高い場所の近くに三日月のような月が出ていた。
家に帰ってきて月齢を調べると6.3になっている。6日目の月。
三日月と言うよりは半月に近い月齢だけれど、僕には三日月に見えた。
天空の高いところに月を見るのも久しぶりだなと思う。