えっ?
アシナガバチだろ?
スズメバチじゃないだろ?
なのに
なんでそんなに
執拗に襲ってくるんだよ!
午後…
庭木の剪定をしていたとき
1匹のアシナガバチが
何度も何度も僕をめがけて飛んでくる
まるで威嚇するように…
その度に
剪定バサミで追い払って…
10年以上も前の夏
庭木の剪定中に
大きなスズメバチに何匹も刺され
文字どおり痛い目にあった
次2度目に刺されたら気をつけてくださいよ
アナフィラキシーショックがありますから…
当時まだ大学生だったチャラ息子に
車で送ってもらった救急病院の
お医者さんの言葉…
今でも呪縛のように
ジジイの身体をこわばらせる
だから…
アシナガバチであろうと
ハチは大の苦手でしかない
そんなハチからなんとか逃れ
しばし剪定を続けるのを諦め
脚立から降りて庭木を離れた
それでも頭上高く舞っている
アシナガバチの行方を追うと…
たったいま
ハサミを入れてた樹の枝の中に
ちっちゃな蜂の巣が見えた…
その巣に張り付いたアシナガバチ
自分の巣の無事を確かめるように…
なんだ
そうだったのかぁ〜
なんにも知らず
ハサミで枝を切ってたけど
キミの巣がそこにあったのか…
そりゃ怒ったように
何度も襲ってくるよなぁ〜
大事な自分の巣が壊されてると思えば…
そんな暑い一日
初孫くんをこども園に送り届けたあと
いつもの午前中のジョギングは
たったの5キロでギブ…
すぐに汗だくになり
脚が上がろうとしない
どうやら30℃に届いてた?
すでに真夏日…
もう夏はやってきちまったのか?
まだ梅雨さえ訪れてないというのに…
幾分涼しかった朝…
車で我が家まで送ってきたチャラ息子に
パパお仕事行かないでぇ〜
と僕の腕の中で泣いていた初孫くん…
抱きかかえながら
俄かに汗が噴き出す
何度もなだめるも…
やがて
カミさんも仕事に出かけ
ジジイひとりで
公園に行こうと騙しだまし
何とかこども園まで…
ジイちゃん園長先生に用事あるから
ここでお利口に待っててねと言いながら
みんなのいる保育室に預けようとすると…
ジイちゃん用事あるから
○○くんはここで待ってるんだよ〜
いまにも大声で泣き出しそうな涙目と
拙い言葉遣いで若い女性保育士先生に
必死に説明する初孫くん…
お願いしますと言い残し
そのまま手を振って
保育室を出ててきたけど…
後ろ髪を引かれながら
泣きそうになっていたのは
ウソをつかずにいられなかった
ジジイの方だったよ…
(ゴメンよ初孫くん…)
(本当にゴメンよ〜😭)
ウソも方便…
なのだろうか?
かもしれない…
けど…
庭木を剪定しながら
まるで嫌いになったから別れるんだみたいに
独身だった彼女から身を引いた
何年も前の夏の日を思い出した
思い出すだけで
心が痛い…
今もまだ…
すでに何年か前
新しい誰かと結婚して
赤ん坊も生まれ
幸せな家庭を築いているという
そんな風のたより…
いつだったか耳にした
良かった…
良かった?
のか?
それで?
良かった?
のだろう…
そう思うのは
ジジイの勝手な想い?
なのか?
のだろう…
そのうち
天罰が当たる…
いやもう当たってる?
この歳になって
鬼のようなカミさんとの地獄の日々…
呼吸できない
潤滑油の役目の
初孫くんだけが
唯一の息継ぎ…
そう…
さ…
そして…
暑い夏の日は
今年も巡ってくる
何もなかったように
コロナすらもなかったように…
巡ってくるんだ
全てを引きずって…
(あとさきも
(なにもみえない
(まよいみち
(いまもめぐらん
(とおいなつのひ