一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

笹本稜平『春を背負って』 ……読み終えると、きっと山小屋に行きたくなる……

2011年06月19日 | 読書・音楽・美術・その他芸術
山小屋を舞台にした連作短篇集である。 同じ笹本稜平の前作『未踏峰』では、 どこに勤めてもうまくいかない若者3人を、 北八ヶ岳にある山小屋の主人が雇い入れ、指導し、 ヒマラヤの未踏峰の山頂を目指す……というものであった。 今回の『春を背負って』(文藝春秋/2011年5月30日刊)では、山小屋の舞台を奥秩父に移している。 アルプスでもなく八ヶ岳でもなく、奥秩父というところに、この作品の持ち味がある。 . . . 本文を読む