一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『土竜の唄 FINAL』……仲里依紗や菜々緒の過激シーン連発のお祭り映画……

2021年11月23日 | 映画


私は、現在、佐賀県に住んでいるが、
出身は、長崎県佐世保市で、
大学進学のために上京するまでの18年間は、佐世保市で過ごした。
なので、原田知世、仲里依紗、川口春奈などの長崎県出身の女優はいつも気になるし、
応援したいという気持ちがある。
彼女たちの映画やTVドラマの出演作はいつもチェックしているし、
番宣で出演しているバラエティー番組などもなるべく観るようにしている。
11月19日(金)19時よりフジテレビで放送された、
仲里依紗が出演した『爆買い☆スター恩返し 3時間SP』も楽しく観た。


仲里依紗の生まれ故郷は、長崎県東彼杵町。
「人口が減っているので、故郷を盛り上げるために100万円で恩返ししたいです」と、
出身校(彼杵小学校)の後輩である全校生徒に郷土の名物・茶ちゃ焼を買って配ったり、
映画の共演者やスタッフに差し入れするために長崎名物のカステラを買ったり、
大好きなおばあちゃんにプレゼントするために真珠のネックレスを買ったりしていた。


長崎県東彼杵町は佐世保市からも近く、
10年前(2011年)に「海抜0メートルから登る虚空蔵山」をやったときも、
東彼杵町の海辺をゴールにした。(コチラを参照)
そのとき、
仲里依紗が歩いたであろう道を歩き、


仲里依紗が見たであろう風景を見て、


〈仲里依紗はこんな所で育ったんだな~〉
と、感慨を深くしたものであった。


そんな仲里依紗を、スクリーンで初めて目撃したのは、
吉田恵輔監督作品『純喫茶磯辺』(2008年)であったが、
将来性豊かな女優として認知したのは、
『パンドラの匣』(2009年)マア坊役
『時をかける少女』(2010年)主演・芳山あかり役
『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』(2010年)ゼブラクイーン/相原ユイ役
の3作においてだった。(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
特に、三池崇史監督作品『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』での仲里依紗は衝撃的で、


そのレビューで、私は次のように記している。

映画が始まり、いきなり黒のボンデージ・ファッションに身を包んだ仲里依紗が歌い、踊りまくる。
これで一気にゼブラクイーンに惹きつけられる。

【♪ゼブラクイーンのテーマ】
ゼブラシティのスーパーアイドル・ゼブラクイーンは、とにかくカッコイイ!
このライブ映像の部分は、安室奈美恵のPV(プロモーション・ビデオ)を手がける久保茂昭が監督しているという。
どうりで凄いワケだ。
最近の凡庸なミュージシャンが束になってかかっても太刀打ちできないほどの出来。
この作品の非凡なところは、まさにこの冒頭の部分あると言えるだろう。
このゼブラクイーンのライブ映像を見せられたことで、その後の物語がすべてゼブラクイーンのPVの一部のように思えてしまうから不思議。
正直、物語の部分はつまらないのだが、仲里依紗のPVの一部だと考えれば、腹も立たないというワケだ。

【ゼブラクイーンの「NAMIDA~ココロアバイテ~」】
こんなことを言っては哀川翔に申し訳ない気がするが、今回の作品に限っては、主役は仲里依紗であった。


その輝き度は、ゼブラクイーンが、ゼブラーマンを、遥かに凌いでいた。
これは、私だけでなく、見た者すべてが抱く感慨だと思う。
監督の三池崇史も、その点は意識していたのではないだろうか?
演出にもカメラワークにもそれが感じられたからだ。
実際、仲里依紗が出ている場面と出ていない場面では、違う作品ではないかと思うほど、その落差が大きかった。

それにしても……
それにしてもだ。
『パンドラの匣』でキュートな看護婦を演じ、
『時をかける少女』で可憐な女子高生を演じた仲里依紗が……
なんとも凄まじい変貌だ。



仲里依紗の女優魂が半端ではないことを証明してみせた驚きの一作であった。
これからどんなものを見せてくれるのか、益々楽しみになってきた。


2010年は、『時をかける少女』『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』の2作で、


第34回 日本アカデミー賞 新人俳優賞、
第23回 日刊スポーツ映画大賞 最優秀新人賞、
第20回 東京スポーツ映画大賞 最優秀主演女優賞、
第25回 高崎映画祭 最優秀主演女優賞など、
新人賞や主演女優賞を総なめ。
仲里依紗の時代がやってきたことを実感させられた。


その後、
映画『時をかける少女』で相手役を務め、
TVドラマ「つるかめ助産院」で再共演した中尾明慶と、
2013年3月21日に結婚を発表し、4月18日に婚姻届を提出。
同年10月4日、第1子となる男児を出産した。
母親となっても、映画、TVドラマなどで女優として活躍し、
2020年4月1日には、YouTube公式チャンネル『仲里依紗です。』を開設。
同年12月には登録者数100万人を突破し、(2021年11月現在の登録者数は153万人)
ユーチューバーとしても才能を発揮している。


そんな仲里依紗の出演している新作映画『土竜の唄 FINAL』が公開された。


『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』(2014年)
『土竜の唄 香港狂騒曲』(2016年)
に続く、『土竜の唄』シリーズの完結編で、
『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』と同じく、
脚本は宮藤官九郎で、監督は三池崇史。


主演は生田斗真で、
仲里依紗、堤真一、吹越満、遠藤憲一、皆川猿時、岩城滉一など、
シリーズおなじみのメンバーに加え、
1作目に出演の岡村隆史、2作目に出演の菜々緒、


3作目の新キャストとして鈴木亮平、滝沢カレンも顔をそろえている。


完成報告会見に出席した際、
主人公の恋人・若木純奈を演じた仲里依紗は、
「特にチャレンジしたシーンは?」と問われると、
「“裸エプロン”ですよね」と即答していたのだが、
〈えっ、あの“裸エプロン”?〉
と、私は仰天し、
〈まさか……〉
と、妄想したが、心配したが、


〈だが、あの三池崇史監督ならやりかねない……〉
と、仲里依紗の“裸エプロン”を確信した。(笑)


主演の生田斗真は、このシーンに触れ、
「世の男子諸君はこれだけでも見に来る価値がある!」
と来館を呼びかける発言をしていたが、


その呼びかけに呼応するかのように、私は、
公開初日に真っ先に映画館に駆けつけたのだった。(コラコラ)



警察学校創立以来、最低の成績で卒業。
始末書枚数、ぶっちぎりのワーストワン。
ちょっぴりスケベだがまっすぐで熱すぎる警察官・菊川玲二(生田斗真)が、
ある日突然、潜入捜査官“モグラ”に任命される。


日本最凶のヤクザの組織に潜り、トップの轟周宝(岩城滉一)を挙げる事を命じられる。


潜るところまで潜った玲二の最後の任務は、
過去最大の取引額6000億円の麻薬密輸阻止。
最大のヤマ場の舞台は、“海上の楽園”こと超豪華客船。




そして、現れた最強にして最凶の敵・ラスボスの長男、烈雄(鈴木亮平)。


謎のフェロモン美女・沙門(滝沢カレン)にハメられ、


恋人・純奈(仲里依紗)との愛の修羅場も訪れ、


モグラ史上最悪の危機が襲うなか、
果たして玲二は轟周宝をブタ箱に入れ、
“キング オブ 土竜”となることができるのか……!?




〈仲里依紗の“裸エプロン”姿はいつ見ることができるのか……〉
と、ワクワクしながら見ていたのだが、(コラコラ)
映画の冒頭にその目的のシーンがあり、度肝を抜かれた。
こんなシーンを仲里依紗にやらせる宮藤官九郎(脚本)と三池崇史監督もスゴイが、
それを実際にやってのけてしまう仲里依紗はもっとスゴイと思った。
(極私的)クライマックスが冒頭にあったので、
後はつまらなくなるのではないか……と心配したが、
全然そんなことはなくて、
冒頭の勢いのままに、128分間、突っ走る。
笑いあり、涙あり、アクションあり、スペクタクルあり、エロありで、
あらゆる要素がてんこ盛りの、お祭り騒ぎエンターテインメント作品であった。
特に、ラストには、あっけにとられるシーンが待っており、
「この映画、何の映画?」
と思わず叫びたくなったほど。
シリーズ3作目、しかもファイナルということで、
脚本の宮藤官九郎も、監督の三池崇史も、気合い入りまくりで、
前2作では見られないようなものまで登場し(なんだ!)、またまた度肝を抜かれる。


『土竜の唄』シリーズは、基本、男たちの物語なので、
主人公である潜入捜査官、通称「モグラ」の菊川玲二(生田斗真)を始め、


シリーズおなじみのメンバーである、
阿湖義組若頭で、通称「クレイジー・パピヨン」の日浦匡也(堤真一)、


数奇矢会四代目会長で、玲二の最終ターゲットである轟周宝(岩城滉一)、


蜂乃巣会下部組織の血引一家の元若頭補佐で、
禿頭とダイヤモンド製の差し歯がトレードマークの猫沢一誠(岡村隆史)、


警察ジャスティストリオの、
①谷袋警察署署長で、玲二に潜入捜査官の任を命じた酒見路夫(吹越満)、


②谷袋警察署資料整理室整理係所属の警察官で、
潜入捜査官養成係としての裏の顔を持つ赤桐一美(遠藤憲一)、


③厚生労働省関東信越厚生局の麻薬取締部課長の福澄独歩(皆川猿時)、


それに、シリーズ3作目の本作にのみ登場する、
轟周宝の息子で、
幼少期より次期会長候補として悪の帝王学を叩き込まれた轟烈雄(鈴木亮平)


などが、
「バッチ来~~~い!」
とばかりに暴れ回り、ハイスピードストーリーを構築しているのであるが、


「鑑賞する映画は出演している女優で決める」主義の私としては、
谷袋警察署交通課の婦警で、玲二の恋人・若木純奈を演じた仲里依紗はもちろん、


警視庁組織犯罪対策部長で、酒見路夫の娘・沙門夕磨を演じた滝沢カレンや、


仙骨竜のヒットマン・胡蜂(フーフォン)を演じた菜々緒に注目していた。



意外だったのは、滝沢カレンで、


バラエティー番組での
話の筋が見えないような発言をしたり、場違いな表現を使ったりする、
(生まれも育ちも日本なのに)「日本語が苦手」というキャラを封印し、
クールビューティで謎めいた警視庁組織犯罪対策部長を演じていて秀逸であった。


これからも本格的に女優をやっていけそうな可能性を感じたし、
本作の演技を見て、いろんな映画やTVドラマから出演オファーがきそうな気がした。



シリーズ2作目の『土竜の唄 香港狂騒曲』に続いての出演であった菜々緒は、


前作『土竜の唄 香港狂騒曲』で、
トイレ詰まり用の清掃器具ズッポン(ラバーカップ)で顔面バキュームされたりして、(爆)


玲二に散々な目に遭わされたのであるが、
見事なムチさばきで玲二にリベンジしようとする姿はカッコイイ。


だが、前作同様、白目をむくシーンも用意されているので、大いに楽しめる。(コラコラ)


菜々緒ファンとしては、
〈あの菜々緒様に、なんてことを……〉
と、思わないでもないが、
彼女にあんなことをさせるのは三池崇史監督しかいないので、
これまであまり見たことのない菜々緒を見ることができたという意味では、
とても幸せな時間であった。(コラコラ)



エンドロールでは、
シリーズ1作目『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』
シリーズ2作目『土竜の唄 香港狂騒曲』
の出演者が続々と現れ、名(迷?)シーンも次々と映し出され、
シリーズファンとしては感涙ものであった。


一応、「FINAL」と銘打たれているが、
これほど面白いシリーズを終わりにしてしまうのは、あまりにも惜しい。
原作の漫画もまだ続いているようだし、
出演者が年を取らないうちに、
早くシリーズ4作目を(『土竜の唄 RETURNS』てな感じで)制作してもらいたいと思った。
私は楽しみに待っているぞ~

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