アルプススタンドがピンク(延岡学園)とイエロー(前橋育英)に染まり、球場全体が1球ごとに大歓声が沸き上がっていた。
全国高校野球選手権決勝戦、前橋育英(群馬)対延岡学園(宮崎)の試合は正午すぎ前橋育英の先攻でプレイボール。4回裏延岡学園が2アウトから3点を先制したが、5回表前橋育英がホームランやスクイズなどで同点とした。さらに7回には長打とタイムリーで1点を追加、逆転し4対3で前橋育英が勝ち、真紅の大優勝旗を勝ち取った。
3957校の頂点を極めたのは『攻めて守る』という野球を徹底した前橋育英だった。スタンドには『凡事徹底』の横幕が飾られていたが、まさに野球の基本をきちんと徹底して、ピッチャーを中心に攻撃的な守りを随所で見せ、1点差で競り勝った。
やはり軸は高橋光成(こうな)投手だった。ストレート、スライダー、カーブ、フォークなどの球を丁寧にコーナーに投げ、バックが2年生投手を盛り立てた。1回戦から決勝戦までの6試合を中心となって力投し、優勝旗をもたらした。決勝戦終盤やや疲れが見え、ヒヤヒヤさせたが気力で最後まで投げ切った。素晴らしい!
攻撃では荒井監督の次男、海斗君が主将となってチームを良く纏めていた。7回の決勝タイムリーを放ったのも彼だ。優勝インタビューで主将として、父(監督)や母(寮母)に感謝の言葉を述べていたが、感動の瞬間だった。
決勝に残った両チームはやはり明るく野球を楽しんでやっている好印象を受けた。
あと一歩及ばなかった延岡学園は31歳の重本監督の指導のもと、薄い桜色のユニフォームがグラウンドを駆け巡り『高校野球日本一』を目指したが、残念だっただろう。終了後のインタビューを中断して号泣したという話も伝わってきた。
決勝戦もそうだが、今大会は1点差のゲームが数多く見られた。勝って驕ることなく、高校生らしい爽やかな感動を多くの高校野球ファンに与えてくれた。ありがとう!!