新潮文庫
わたしの脇役人生の読後、古本屋で見つけて
買ったもののなんかあったような気がして、
古本の蔵書を視ると、装丁のバージョン違いで
二重買いをしてしまったようだ。装丁が違うから
気付かなかったようである。
これで沢村氏は三冊目。八十歳を過ぎたある日、
夫が海の見える家で老後を過ごしたら、慾のない
暮らしを出来るだろう、と云うようなことを言った
ので、沢村さんは一大決心をして、引っ越しをし
ましょう、引っ越しは大っ嫌いらしいが、愛する
ダンナがそう言うのだから、そうしやしょう、と
ばかりに真夏の盛りに湘南のマンションに引っ越す
ことに。庭木など何本か持って来たが、気になる木
もある。寄り添って死後と云う文章を、ダンナの
大橋恭彦(おおはし・やすひこ)氏が書いているが、
書いて直ぐ亡くなったらしく、その死後に貞子さんが
またのあとがきを書いていらっしゃる。何もしなかった
人生と振り返っておられるが、いやいや、あなたは人の
何倍もの仕事をなさいましたよ、と葬送の言葉を贈り
たくなった。
(読了日 2025年1・24(金)17:50)
(鶴岡 卓哉)