8世紀末、大和朝廷は蝦夷(えみし、現在の東北地方)へ進撃を開始しました。
そこへ立ちふさがったのが英雄アテルイでした。
アテルイは、圧倒的な数の大和軍を地の利と機動力で翻弄し撃破します。
しかし、大和はあきらめず坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命し、蝦夷の集落を調略し切り崩していきます。
田村麻呂の智謀と武勇に、数の上で圧倒的に不利な蝦夷軍は追い詰められていきます。
稲作文化(大和)と狩猟文化(蝦夷)の間で揺れ動くアテルイの心理や、巫女モレと生涯を通した恋など、小説としての読みどころもありました。中世の日本の基礎ができるときの陣痛の物語とも言えます。