昭和40年代中頃、過激派の学生に狙われ、名誉も誇りもなく、安月給の軍隊もどき自衛隊。
著者のそこでの体験をもとに、面白おかしく、そしてお涙頂戴で描かれた陸上自衛官たちの連作短編集となります。
町で声をかけられ、訳も分からないうちに誘拐拉致のように入隊させられた社会のはみだし者たちが、理不尽な暴力と拘束のために自衛隊に染められていきます。時に見せる上官のやさしさまでも暴力的で、今ならパワハラではすまないでしょう。
しかし、拳で語ろうぜ! の一昔前の少年漫画のノリで泣かせてくるタイプの話です。
軍隊は、娑婆と同じ価値観で勤まるものではなく、それは経験した者にしかわからないでしょう。ある意味、(軍隊では)暴力も正義なのです。
そんな中で、個性的な面々がみせる自衛隊からの脱走計画は、個々に違っていてそれがおもしろいのです。
徴兵制がない日本では、このような書籍で、軍隊内部の生活を垣間見るしかないですからね。
わたしには、こういう生活は絶対に合わないですが。
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