MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『最後まで行く』

2023-09-13 00:59:47 | goo映画レビュー

原題:『最後まで行く』
監督:藤井道人
脚本:藤井道人/平田研也
撮影:今村圭佑
出演:岡田准一/綾野剛/広末涼子/磯村勇斗/駿河太郎/山中崇/黒羽麻璃央/駒木根隆介/山田真歩/清水くるみ/杉本哲太/柄本明
2023年/日本

デタラメを凌駕する「活劇」について

 前作の『ヴィレッジ』(2023年)の藤井道人監督の演出にはどうも納得いかなかったし、本作においても演出が緩いと言えば言えるのだが、例えば、どうやってあの大きなドラム缶をつるし上げて落とせたのかとか、車と一緒に湖に沈んだはずの矢崎が主人公の工藤祐司の目の前に突然現れる場面など、理屈に合わないと言われればそれまでであるものの、そんな些末な理屈を凌駕してしまう「活劇」としての面白さが堪能できる。特に大量の一万円札の札束の中で取っ組み合っていた工藤と矢崎が、いつの間にか墓場に並ぶ大量の墓石の上で取っ組み合っている場面転換の演出などは素晴らしかった。
 「仙葉組」の組長である仙葉泰が工藤に語る逸話は熱い砂漠の中でも逃げないで生きているトカゲの話だったが、それとリンクするように工藤が自身の車をパトカーにぶつけて修理に出して借りた代車のナンバーが「・389」(砂漠)であり、既に工藤は「砂漠」の中にいるのである。そして見間違えでなければ矢崎が乗っている車のナンバーは「1122」で「良い夫婦」を暗示していると思うのだが、ラストにおいて工藤が電話で妻の美沙子と関係が修復できそうになった矢先に三度矢崎に車で追われるのは、工藤は矢崎の車ではなく自分の車を運転していたからであろう。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/news1242/trend/news1242-438073


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