白血病の少女がいた
おばあちゃんが
いつもお見舞いにきてくれるんだ
病院の食事だけじゃアレだと思って
手料理を作ってくるんだよ
かぼちゃの煮物とか…
キンピラごぼうとか…
ブリ大根とか…
少女はとても喜んでいたんだ
でもね
抗がん剤とかの副作用で
髪の毛とか抜けちゃって
ガリガリに痩せちゃって
ストレスが溜まって
イライラしてたんだろうね
ある日思わず
ワガママ言っちゃったんだ
「もう
ばあちゃんの料理
食べたくない
わたしまだ
17歳なんだよ
たまには
ケーキとか食べたい」
そして
そこにあった
おばあちゃんの料理
ゴミ箱に捨てちゃったんだ
おばあちゃん
背中をまぁ~るくして
悲しそうに帰っていった…
その背中を見て少女は反省した
あぁ…
おばあちゃん
いつの間に
あんなに腰が曲がっちゃったんだろ
そうか
そうだよね
いままであたしのせいで
苦労してきたんだもんね
何であんなこと
言っちゃったんだろ
ごめんね おばあちゃん
明日
ちゃんと謝ろうって
思ったんだ
でも次の日
おばあちゃん
死んじゃった
となり町のスーパーに行く途中
ダンプに撥ねられて
死んじゃった
おばあちゃんの
右手に
しっかりと
一枚のメモが
握られていた
ケーキミックス
生クリーム
バニラエッセンス
ケーキ作ろうとしてたんだね
車が多いからって
いつもは行かないんだけど
となり町の
大きなスーパーまで行って
死んじゃった
少女は泣いた
泣きじゃくった
看護士はとめたんだけど
昨日捨てた
ゴミ箱の中の料理
食べながら
わんわん泣いてたんだって
煮物とか
きんぴらとか
ブリとか
全部
混ざっちゃてたけど
すっごく美味しかったんだ
「だってもう
食べられないんだもん
おばあちゃんの料理」
「おばあちゃんの かぼちゃ」
「おばあちゃんの ごぼう」
「おばあちゃんの 煮物」
ごめんね おばあちゃん
いつも心配させてたね
ごめんね おばあちゃん
ひどい事 言っちゃったね
あんなの嘘だよ
おばあちゃんの料理 大好きだよ
おばあちゃん
おばあちゃん…
ばあちゃん…
祖〓たまこ〓母
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