多摩爺の「時のつれづれ(長月の35)」
この国の刑事罰にあるストレス (追記あり)
あくまでも個人的な思いだが・・・ この国の法律(刑法)は、
被害者よりも、加害者に寄り添っていて、
犯罪を犯した者が罪を償い、社会復帰を促すことによって立ち直ることが出来れば、
再犯防止に繋がるという仮説に基づいた・・・ 性善説を基本にしていると思っている。
罪を償った者が復帰できないような社会は、あってはならないと思うので、
それはそれで間違ってないし、正しいと思うが、
ちょっとモヤッとしてることが・・・ 二つほどある。
一つ目は、心神喪失者が犯した犯罪は、罪に問われることなく、
心神耗弱者の犯罪に至っては、罪一等を減じるということになるらしく、
もう一つは、捜査の対象となって・・・ 明らかに犯罪に関わっている証拠があるにも拘らず、
示談等によって不起訴となった場合は、前科がつかないということである。
示談により双方が納得してるんだから・・・ 犯罪ではないといえば、
確かにそうなのかもしれないが、改めてそういったことを意識したのは、
いみじくも二つの気になる視点に関連するような・・・ 二つの大きなニュースが、
今週、偶然というか、タイミング良くというかあったのである。
一つ目は、4年前に36名の死者と32名の重軽傷者をだした、京都での放火殺人事件の審議が、
全身火傷を負った容疑者の回復を待って、ようやく始まったというニュースであり、
もう一つは、政府の有識者会議によって「日本版DBS」と呼ばれる仕組みが報告され、
今秋の国会に法制化を目指して、こども過程庁から法案が提出されるというニュースである。
因みに日本版DBSとは、「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス」の略で、
子どもと接する仕事に就くことを希望する人に、性犯罪歴がないことを証明するイギリスの制度で、
この国でもそれに習って、子どもと接する仕事に就くことを希望する者の、
前歴を開示するとともに、前歴者の就業制限を行えるように制度化することらしい。
二つのニュースを見て・・・ 「ようやく、ここまで来たのか。」という思いが第一感だったが、
それにしても、悶々とした気分が拭えないのはなぜだろう?
私は犯罪者が罪を償い、社会復帰することに反対ではないが・・・ なぜか気分が晴れない。
そもそも裁判官が下す判決は、エビデンス(証拠)に基づき、ファクト(事実)をどう捉えるかだが、
容疑者に精神疾患があると、罪の免除や減刑があることは、納得できずとも仕方ないとするが、
誠意と財力を持って被害者と交渉し、示談が成立すると不起訴となるのは、正直いって納得できない。
グレーが白になるのではない。
話し合いとお金で・・・ 黒を白にするのである。
そうしないと前科者が増えるからかもしれないが、ホントにそれで良いのだろうか?
仮に京都の放火殺人事件の容疑者が・・・ 減刑されたとしよう。
全身火傷で身体に後遺症が残り、自活が出来ない服役者の食事の介助と、下の世話はどうするのか?
だからといって死刑にしてしまえなんて、乱暴なことをいうつもりもないが、
容疑者の一生を税金で面倒見るのも・・・ 如何なものかと思ってしまう。
また、性犯罪歴のある者を、子どもに関わる仕事に就かせないよう、
前歴を開示し、就業の規制を行う「日本版DBS」を作ることには大賛成だが、
そこには示談が成立して不起訴になった者は、そもそも前歴がないことから対象外であり、
ザルとまでは言わないが・・・ 大きな穴があるように思ってしまう。
今日の午後には、この国のエンターティメントに欠くことが出来ない、男性アイドルたちを、
数多くエンタメの世界に送り出してきた事務所の創業者(故人)が、
所属していた未成年の男子に・・・ 性的被害を加えていた事案について、
先月末の再発防止特別チーム(第三者委員会)の報告を受けて、記者会見を行う予定になっている。
特別チームから報告された、内容や提言について、
事務所は真摯に受けとめるとしているが、
ここにきて・・・ 被害者当事者の会の動きも活発化してきた。
国会に出向いて、野党のヒヤリングを受けると、法改正など国会の関わりを強調し、
記者会見を開いて・・・ 事務所が行う会見の機先を制する形で、
真相究明と謝罪、さらには救済基金の設置を求めるとし、
事務所の会見内容によっては、刑事告発することも視野に入れているとしている。
少年期に性的被害を受けた方々の、心情を察すれば・・・ 尤もだと思うものの、
あくまでも個人的な視点になるが・・・ ここにきて「あれっ?」と思うようなことがあり、
果たして解決に向かうのか、ちょっと心配になってきている。
特別チームの報告に「救済金」という言葉あったことに端を発し、
当事者の会は、これまで「救済金」とか「見舞金」といった、
お金に纏わるような話しは口にせず・・・ 封じていたと思うが、
ここにきて、お金で解決を図ろうとする動きに転じたのは・・・ なぜなんだろう?
特別チームが言及したことから「救済金」の支払いは避けて通れないと思うものの、
当事者の会から、基金の設置に関わりたいと言い出してしまうと、
穿った見方をする人たちからは「やっぱり、お金なのか?」となってしまうので、
当事者の会がそれを持ち出すのは、得策ではないと思うが・・・ 如何なものだろうか?
また、真相の究明について、事務所と当事者が合同で調査チームを作り、
もっともっと掘り下げるべきとしたが、
それは、特別チームが行ったヒヤリングでは・・・ 満足できないので、
所属していたアイドルたちのヒヤリングに、自分たちも関わり、言質を取りたいと言ってるに等しい。
事の顛末について、自ら解明したい、実態を知りたいと思う気持ちは・・・ 分からんでもないが、
個人的にはやり過ぎだと思うし、話したくない、関わりになりたくない元アイドルたちを、
追い詰めることにならないかと危惧している。
個人的には・・・ 事務所と当事者の会で話し合い、解決に至ればそれで良いと思うが、
すでに時効が成立している案件であって、事務所へ譲歩(救済)を求めるべき段階だと思うが、
だれが知恵を付けたか知らないが、告発を視野に入れてると発言し、
云うことを聞かなければ、全面対決(告発)するとした姿勢が・・・ なんとなく引っかかっている。
もちろんのことだが、被害者たちの気持ちには、全面的に同意するし、支持したいと思うし、
隠蔽の片棒を担いだメディアを、基金に巻き込みたいという提案には大賛成だが、
すでに業界内で立場を築いたアイドルがいて、そっとしておいてほしい元アイドルもいる。
そういった視点で捉えるならば、必要以上に事態を混乱させて、解決を長引かせてまでして、
ブランドの価値をさげることに・・・ 意味があるとは思えない。
まずは本日午後からの、事務所の会見待ちだが・・・ 本件の加害者は故人であり、
事件としては、すでに時効となっていることを踏まえれば、
まずは振り上げた拳を下ろして、交渉の席に着かないと・・・ 落としどころが見えてこない。
思うに・・・ 事務所創業者の異常な性的な嗜好は、
減刑の対象外だとは思うものの、精神疾患には該当しないのだろうか?
鑑定しようにも、すでに故人だから如何ともし難いが、
もし精神疾患だったとしたら・・・ どうなるんだろうか?
また、多くの未成年のアイドルをたくさん使って、ビジネスを展開する事務所の経営者たちは、
もしものときを想定して、社員の採用に当たっては、
コンプライアンスや、危機管理の視点から、
任意であっても「日本版DBS」のチェックを受けておいた方が良いだろう。
重箱の隅から隅まで、なにもかも決め決めにする必要はないと思うが、
未成年を巻き込み、犠牲にしてしまうような、なにかしらの事件や事故が起こったとき、
性善説を基本とする、いまの法律のままで良いんだろうか?
なにをどうすべきだなんて、具体的な知恵があるわけではないが、
そんなことを思ったりしている。
追記
創業者が未成年へ性加害事件を起こしてしまった芸能事務所が、7日午後に記者会見を行った。
その内容は事実を認め、被害者へ謝罪し、救済をするとのことで、
予め想定されたとおりであり、謝罪会見であり、うつむき気味にとつとつと喋っていた。
時間的に見て、仕方がないとは思うものの、総じて行き当たりばったり感は否めず、
全てはこれからといった、決意表明に近い会見で、内容的には乏しかったのではなかろうか?
外部から招聘して、コンプライアンスに関するチームを立ち上げると言ったが、
経営陣に外部から取締役を入れて、
透明化を図ると言った言葉がなかったのには・・・ 正直言ってガッカリを隠せなかったし、
質疑応答で自らの疑惑に、若気の至りといった発言をするようでは、トップとしては心許ないだろう。
また、被害者が求めた、メディアを含めた救済基金の設置について、
救済するとは云ったものの、そこには具体案を示さなかったのは・・・ 如何なものだろうか?
せめて、いつから、どういったメンバー構成で、いつごろまでに決着をつけるぐらいは、
大雑把でも構わないので、説明すべきではなかっただろうか?
さらに、最も憤慨したのは・・・ 片棒を担いでいたはずのメディアが、
自らの対応について反省を表明することなく、謝罪もしないまま、
恥ずかしげもなく、立て板に水の如く追求し、
ひな壇を責め立てている姿には・・・ 呆れてものが言えなかった。
本件の隠蔽等について、事務所が圧力をかけたのか、それともメディアが忖度したのか?
事務所とメディアとの関係は・・・ いったいどういった状況にあったのか?
まずは、そこんところをキチンと説明してから質問すべきではなかろうか?
大変申し訳ないが、どの口が言うであり、厚顔無恥だと思うが・・・ 如何なものだろうか?
あってはならないことなので、応援したいと思ってますが、
追い風を受けて、着実に前に進めば良いだけなのに、
少し前のめりになってるような気がしています。
ジャニーズ事務所のマスコミ支配は酷かったですね。一寸でも事務所の意向に沿わないマスコミは閉め出し、提灯記事を書くだけのマスコミには飴を与えた。
会見を閉め出された社にいた者として、今回の事態は感慨深いですね。
メリー、ジュリー母子の女帝ぶりは目に余りましたね。様を見ろです!
彼らはあまりにも傍若無人で、取り返しの付かない勘違いをしており、
想像を絶するような、途轍もないしっぺ返しをくらったのではないでしょうか?
今日の会見で、どういった落としどころを提案するのか注目したいと思います。
自分が最近感じていたモヤモヤが見事に言語化されていて、深く頷きながら読ませていただきました。
ブログ、フォローさせていただきます。
よろしくお願いします🙇
フォローしていただきありがとうございました。
爺さんがぼやく拙いブログですが、笑ってやっていただけたら幸甚です。
本当に全てに納得の出来る文章に感銘を受けています。本日の記者会見への感想も全く同じで、私はこんなにきちんと文章にまとめる能力が無いので、そうそうと頷きながら拝読しました。
マスコミのあまりの変わり身に驚きました。なら、何故に今まで取り上げなかったのよと、画面に向かって言ってしまいました。
拝読して、気持ちがすっきりしました。有り難うございます。なおとも
たらたらと、しつこくてくどい文章を読んでいただきありがとうございました。
創業者による性加害に関しては、主犯は創業者かもしれませんが、
メディアは曖昧にして発覚を遅らせており、匿ったと取られても致し方ないことから、共犯だと思っています。
今日の質疑を見ていて、いまになってお前たちが、それを言うかと思ってしまいました。
スポーツなら攻守交代がありますが、共同正犯に攻守交代はありません。
メディア各社は、しっかり自覚して欲しいと思います。
この問題を多角的に考察頂いた記事には感謝です。
ブログでは表現できないことがいっぱいあります。
なので、読者の方々も分かっちゃいるけど書けない。
そんな感じが一般的な感想ではないかと思います。
芸能・エンタメ・マスコミなどを含めてなかなか
批判できない点も多いと思います。
一言でいえば「メシはペンより強い」だと思います。
やはり生活もあり収入が途絶えると物も言えない?
今回の問題はほんの氷山の一角だろうと思います。
問題なのが薬物・売春・買春・賭博・反社との繫がり。
こんなものは昔からあることで因縁が深すぎる。
韓国社会で炎上しているのは若いK-pop女性が被害に遭い
ネットの上では堂々とAV本番が動画で配信されています。
日本にはないのか?噂で言えばあるのが現実だと思います。
しかし、それを批判的に報道するところはありません。
臭い物には蓋をしてシカトするのが現状です。
従って、マスコミ批判にも限界があります。
ではどうすると良いか?やはり犯罪だと認識すれば
当然ながら国家権力の警察が動くべきです。
ところが被害届がないと動かない?動けない?一理ある?
どうもこの点が納得できない点です。
刑法と民法の狭間で「被害者」がいないとダメなのかです。
法律を無視すると、ダメなものはダメだろうと思います。
表に出ない、出せない問題は山ほどあります。
被害者は居るが、公表できないこともあります。
どうして司法は動かないのか?法律が不完全だからです。
なので、この部分を含めて法律改正が必要だと思います。
そこで、誰がやるのかですが誰もやらないから進歩がない。
残念ながら法律学識者の声が出ないのは全く不思議です。
また、これを後押ししないマスコミも酷すぎると思います。
裁判ですが弁護士が容疑者の不利にならない弁護は必要だと
思いますが罪を軽くしようと努力することは納得出来ない。
なぜこんなことが起こるのか?理由は簡単で減刑できる量刑の
条件が多すぎることです。
これを誰が判断するのかですが当然に裁判官だと思います。
この判断基準は非常に曖昧で良く出る話が過去の判例?
これでは時代錯誤も甚だしく不明瞭な点が多い。
簡単に言えば、AIがある一定の条件の中で判決が出せた方が
公平だと思われます。
人間は常に因果関係・生活での因縁が深い場合には冷静な判断は
出し難い。裁判官も人間ですから何らかの圧力に屈しないか?
理想と現実とは大違いで完全否定はできません。
疑い出すとキリがありませんが疑惑の判決もある気がします。
なので、逆発想から考えた場合に個人的な判断が影響できない
仕組みがあると分かり易いと思います。
簡単に言えば、窃盗は3年、どんな理由があっても3年という
量刑のでき難い条文があれば解決できそうです。
現状で分かり難いのは罰金〇〇円で懲役3か月~3年?と
いう枠があり過ぎる。手心加えるのは3か月が非常に有利です。
更に軽くするには「執行猶予」ですが乱発し過ぎる傾向が強い。
もはや理想を捨てて超現実的な法律に改正して欲しいと思います。
期待度は薄いですが真剣に動いて頂ける人材がいるでしょうか?
それが大きな問題だと言えます。どうも情けない。
さまざまな角度からコメントをいただき、ありがとうございました。
私は複数の罪があるのに最高刑が適用される法律を改め、
アメリカのように、個別の犯罪事に出された刑期を、加算していく方式に変える方が良いと思っています。